幼いころの成功体験

今でも時々思い出すことがある。

ずいぶんと前の話、

幼稚園の時のこと。

 

画用紙を何枚もつなげて、

おおきな1枚の画用紙にして、

幼稚園のクラスのみんなで分担して1枚のおおきな絵を完成させる

というものだった。

 

確か、

先生からの絵のお題は、

「青空に輝く太陽と

両手をあげてそれを仰ぐ

クラスメートたち」

だったと思う。

 

1人1人が両手をあげて空を仰ぐ”自分”を描くものだ。

線を引いて、

それから絵具で色付けして仕上げていく。

 

まずは、

おおきな太陽をみんなでぐりぐりと描いて

それに続けて、

みんなが太陽の下にいる”自分”を描いていく。

 

太陽はぐりぐりべたべたと仕上がったけど、

”自分”を描く段になって

みんなの手が自然ととまりかけた。

 

幼稚園児には人の形を描くのは難しかった。

 

それでも、

他の子が描くのをお互いに参考にしながら

みんな頑張って絵を描いていった。

 

頭、首、胴体、手、足、

服は、その時に着ていた水色のスモック。

 

 

ふと回りに目を移すと、

みんなの絵には「首」が描かれていなかった。

 

あれっ、

僕には焦りが生じたけど、

勇気をふりしぼって

「首」を消さずに描き続けた。

 

みんなが描く人の形と微妙に違う形の絵になって

さみしい思いをしながらも描き続けた。

 

その時、

 

それが見回りの先生の目に留まって

僕がちゃんと「首」を描いていることをすごく褒めてくれた。

 

 

成功体験はその人を成長させる。

人格すら形成させる。

 

幼稚園の時には、

今では笑い話になるような恥ずかしい体験が幾つもあるけど、

僕はこの成功体験をよく覚えている。

 

 

「自分がこうだと思ったことをそのとおりに描いてみる。」

 

 

もう幼稚園の時の絵の話ではない。

 

人生のいたるところで共通する話だ。

 

税理士として仕事をしていくには

正しく仕事をする知識もスキルも当然必要になってくる。

お客様から当たり前に求められる能力だ。

 

でも

税理士にはスキル以前に社会的に求められているものがある。

 

価値観というか、

在り方というか、

倫理観ともいうのだろうか。

 

税理士法第1条(税理士の使命)

「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」

 

 

もし将来、

何か迷いや不安が出てきたときには

ここに立ち返ってみることとしたい。

 

きっと自信をもって進めるだろう。

 

 

 

宮本会計事務所

宮本直樹