僕の住んでる町で、ストリートミュージシャンを見かけて、思ったこと。

駅前の広場とか、

シャッターが閉まってからの商店街とかで、

ストリートミュージシャンを見かけることがある。

 

マイクとギター、そして投げ銭用のギターケース

時には、ライブの案内チラシ、

それを収録したCDなどが1枚1000円とかで売られていることもある。

 

僕は、ストリートミュージシャンが好きだ。

 

とはいっても、僕は世の中の曲をあまり知らない。

しかも、僕は自称「ド」の付くくらいの音痴だ。

カラオケに行ったとしてもロクに歌えないし、

そもそも歌をほとんど知らない。

 

カラオケに行くと、

「歌わない人がいると場がしらけるから」といって、

僕に「一曲でいいから歌え」と強引に勧めてくる人もいる。

僕の歌を知らない人だ。

 

仕方なく、僕が一曲歌うと、結局、

場がしらける。

 

歌っても、歌わなくても、

場がしらけるから、

たいていの場合には、カラオケに行くことを何らかの理由をつけて断ることにしている。

 

まあ、そんなことはどうでもいい。

 

 

ストリートミュージシャン

たいていは、平日は会社員をしていることが多いと想像できる。

そして、仕事が終わってからとか、

仕事のない週末に、

自分の大好きで得意な分野である歌と楽器を披露している。

 

すばらしい限りだ。

多くの見ず知らずの人たちの前で歌を歌うなんて。

僕はストリートミュージシャンの歌をそばで聴くだけでムズムズしてしまうのに。

 

ストリートミュージシャンはほぼ無名の人なので、

通行人もチラ見もせずに通り過ぎていくことが多い。

でも彼らは情熱を傾けて歌い続ける。

しかもかなりの腕前であることが多い。

 

僕のよく通る道にも

ストリートミュージシャンが出現した。

 

最初、僕はほかの多くの通行人と同じように

チラ見して、片耳だけ少し向けるくらいで、

歩く速度も変えずに通り過ぎていた。

 

翌週も、翌月も同じように彼が歌っていた。

 

聴衆がいないときが多かったが、

数えられるくらいの少数の聴衆が足を止めることもあった。

 

そしてまた、暦が過ぎていった。

相変わらず、熱心に楽しんで歌っていた。

いい歌声だ。

数は少ないが、彼が歌っている目の前で座って聞く人も出てきた。

 

僕は、彼の目の前で歌を聴くことはなかったが、

十数メートル離れたところで、

何気ないように立ち止まって数曲聴いたりもした。

 

気が付くと、僕みたいに、足を止めて遠巻きに

彼の歌を聴いている人がいた。

 

全然たまたまココにいるんです、的なフリをしているくせに、

傘の柄をギターのリズムに合わせて

指でトントン

しているおじさん。

僕は気付いていますよ。

 

ミュージシャンの方向とは逆方向を向いたまま立ち止まって、

何も知らない素振りして、

両耳を全力で背後に向けて歌を聴いているおじさん。

僕は気付いていますよ。

 

さっき時計を見ながら速足で通り過ぎたはずなのに、

気が付いたらひっそりと戻ってきて遠くを見ているフリをしているおじさん。

僕は気付いていますよ。

 

僕がストリートミュージシャンを好きな理由は、ココ(聴衆)にもあります。

みんな彼の歌声を聴いて元気出てるんだね。

感動しているんだね。

周りの通行人の巻き込んで、目に見えない渦が広がっていくのが分かるのが好きです。

 

むしろ、

時には、音楽よりも、

聞いていないふりして遠巻きに聴いているおじさんたちに

人間味を感じたり、

背中に人生の哀愁を感じたりして、

じーん

と、僕は涙が出そうになったりするのです。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。