再雇用する従業員に対する退職金の支給
再雇用する従業員に対する退職金の支給
会社で雇用する従業員が、たとえば60歳に達したので退職扱いにして勤続年数や役職、功績に応じた退職金を支払い、
そして、その退職日の翌日から再雇用者として引き続き会社に勤務してもらうときに、
退職金支給の損金算入に関して、なにか問題がないかどうかについて、見てみましょう。
従業員に支給する退職金
一般の従業員の場合
一般従業員に支払う給与等に関しては、通常は恣意的なところが介入せず、正常な取引に基づいて支払われるものであるので、
一般従業員に支払う退職金については、会社の損金に算入することについて、特に問題はありません。
ただ、注意点としては、その従業員が再雇用された後も、退職前と同じ役職や、職務内容で、給与や賞与などの待遇についても退職前となんら変わらないのであれば、
退職という事実がないと判断される可能性も考えられます。
一般的には、退職者の再雇用後の待遇については、役職ラインから外れ、職務内容も組織のリーダー的な立場や決裁権限を持った立場から退くこととなります。
また、それに伴って給与水準も退職前の給与水準と比べると何割か減少することとされていることが多いので、
恣意性を持った退職金支給目的の形だけの退職と取り扱われないように注意が必要といえるでしょう。
従業員が親族である場合
親族については、その退職金が不相当に高額でないかどうかについて注意が必要となります。
一般従業員に対しては不相当に高額な退職金の支給をすることはまず考えられないのですが、
身内である親族や内縁関係者に対しては、査定が甘くなり金額も高額になってしまうことも考えられるので、注意が必要です。
まとめ
基本的には、従業員の退職金を損金に算入することに、特に問題はございません。
ただし、注意点としては、
- 恣意的な退職金の支給ではなく、退職の事実が認められること。
- 従業員が役員の親族の場合は退職金が不相当に高額にならないこと。
が挙げられます。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。