個人事業者が廃業したのちに再度開業したときの消費税の納税義務の判定

個人事業者が廃業したのちに再度開業したときの消費税の納税義務の判定

個人事業者が営んでいた事業をいったん廃業したのちに、また新たに別の事業を始めることがあります。

再出発、再チャレンジするような場合です。

このような場合に、消費税の納税義務の判定で気を付けておきたいことがあります。

何年も前の廃業であれば特段気を付けなくてもよいのですが、1、2年前の廃業であれば、新たに開始した別の事業がいきなり消費税の納税義務ありと判定されることもありえるからです。

 

今回は、個人事業者が再度開業したときの消費税の納税義務の判定で、気を付けておきたい点について、見てみましょう。

 

 

個人事業者の消費税の納税義務の判定

消費税の納税義務があるのか、ないのかの判定は、「その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者」であるのか、ないのかによって行います。

「その課税期間に係る基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者」であれば、消費税の納税義務が、基本的には免除されます。

つまり、消費税の申告を行う必要がないということです。

 

ここで、「基準期間における課税売上高」とは、個人事業者の場合は、原則として、前々年の課税売上高のことをいい、

法人の場合は、原則として、前々事業年度の課税売上高のことをいいます。

 

注:個人に相続があった場合や、法人に関する詳細規定などは省略しています。

 

 

個人には基準期間が必ず存在する

個人事業者については、消費税の「基準期間における課税売上高」は、その前々年の課税売上高をいいます。

 

新たに設立した法人とは異なり、

個人については、たとえ以前とは別の新たな事業を開始した場合であっても、

必ず、「基準期間における課税売上高」は、その前々年の課税売上高となります。

 

したがって、個人事業者の消費税の納税義務の判定においては、

事業の継続性(廃業や開業の繰り返し)や、事業内容(物品販売、店舗賃貸など)の変更の有無は関係ありません。

基準期間(すなわち、前々年)における課税売上高が1,000万円以下となっているのかどうかによって

消費税の納税義務の判定がされることとなります。

 

たとえば、前々年中に個人事業を廃業したものの、1年ほど経過後に、また新たに全く別の事業を開始したような場合には、

この点に気を付けておいた方が良いでしょう。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。