表示科目は”すっきり”と、補助科目は”しっかり”とがオススメ

勘定科目の残高、増減確認のためには、補助科目の活用がおすすめ

勘定科目の残高、増減を確認するためには、補助科目の活用が有効です。

とくに、同じ勘定科目でありながら、

その金額が合っているかどうかについて、内訳ベースで把握しておかなければならないものや、

後日精算が控えている仮勘定といったものについては、

補助科目を持たせること等によって、

確認が煩雑にならないようにしておきたいものです。

 

表示科目は”すっきり”と、補助科目は”しっかり”と、

について、見てみましょう。

 

 

表示科目は”すっきり”が分かりやすい

現金預金を例として、

分かりやすいところで書いてみます。

 

貸借対照表の表示で、

「現金預金」

という勘定科目があります。

 

この現金預金という勘定科目を、

たとえば、

  • 現金
  • 小口現金
  • 当座預金
  • 普通預金
  • 定期預金
  • 外貨預金

・・・

などのように、

状態にしたがって細分化して貸借対照表に表示するよりは、

 

すべてを一まとめにして、

「現金預金」

として表示したほうが、

貸借対照表はすっきりとしていて、

全体的に見やすくなるものです。

とくに理由もなく、わざわざ細分化することもないでしょう。

 

金融機関からすれば、

(たとえば、)

「定期預金」

のところに興味を持たれたりすることなども、あるかもしれませんが、

 

基本的には、

「現金預金」

の内訳に移動があったとしても、

それは単なる”資金移動”

と考えるだけのことが多いものです。

 

普通預金から10万円を引き出して、

小口現金に補充をしているような場合でも、

単なる資金移動ですよね。

 

普通預金として10万円の残高があるのか、

小口現金として手許に引き出したのかは、

貸借対照表における表示科目としては、

重要なことではありません。

 

内訳が必要であれば、

(法人であれば)勘定科目の内訳明細などの、

別の書類でも分かるものです。

 

こういったことから、表示科目については、

”すっきり”がオススメになろうかと思われます。

 

 

補助科目で”しっかり”と区分する

普通預金を例にすると、

対外的には、

預金口座ごとに別々に貸借対照表に開示することは考えません。

 

ただし、

内部的には、預金口座ごとにしっかりと区分をして、

それぞれの口座の残高確認をスムーズに行えるようにしているものです。

 

普通預金の口座が複数ある場合には、

  • A普通預金口座
  • B普通預金口座
  • C普通預金口座

・・・

などのように、普通預金の補助科目を持っておいて、

口座ごとに、残高、増減の確認をしているものです。

 

補助科目を使うことによって、確認がスムーズに行えるので、

普通預金は当然であるとして、

ほかの勘定科目でも内訳があるものについては、

補助科目をもたせることを、

積極的に進めるとよいでしょう。

 

 

補助科目を持っておいたほうがよいと思われる勘定科目

上記の普通預金のように

口座別に補助科目を持たせることは、

広くあたり前のことのように行われていることでしょうが、

 

それと同じように、

ほかの勘定科目においても、

補助科目の活用はうまく出来ているでしょうか。

 

  • 未収入金
  • 前払費用
  • 預り金
  • 未払費用
  • 未払金
  • 有価証券
  • 投資有価証券
  • 仮払金
  • 仮受金

・・・(ほかに幾つもあります)

などの勘定科目は、

いかがでしょうか。

 

事業の内容や、取引頻度、規模などにより、

補助科目での残高、増減確認ではなく、

別途、内訳書を作成しているケースもあると思いますが、

これらの勘定科目も

(もちろん必要に応じて、)

補助科目を持たせておきたいものです。

 

 

どこまで持たせるか

補助科目は、どこまで持たせると確認がスムーズになるでしょうか。

 

これも事業の内容や、取引の頻度などによってまちまちですが、

補助科目を持たせる目安として、

次のような基準が参考になると思われます。

 

(1)勘定科目の中に一つでも取引の多い種類のものがあれば、

その多いものと、その他のものとを区分するために、

補助科目を使用する。

 

(2)一つ一つの取引は少ないけれども、

種類がたくさんあるのであれば、それぞれを細かく区分するために、

補助科目を使用する。

 

 

預り金の例で見てみると、

たとえば、預り金の例で見てみると、

次のような補助科目の持たせ方が考えられます。

 

(1)勘定科目「預り金」の補助科目として、

源泉所得税が多かった場合に、

 

  1. 勘定科目「預り金」—補助科目「1.源泉所得税」
  2. 勘定科目「預り金」—補助科目「9.その他」

のように、

は最低限、

源泉所得税と、その他のものを区分できるようにする。

 

 

(2)勘定科目「預り金」の補助科目とすべき種類が、

たくさんあるのであれば、

 

  1. 勘定科目「預り金」—補助科目「1.源泉所得税」
  2. 勘定科目「預り金」—補助科目「2.社会保険料」
  3. 勘定科目「預り金」—補助科目「3.住民税」
  4. 勘定科目「預り金」—補助科目「4.食事代」
  5. 勘定科目「預り金」—補助科目「5.互助会費」
  6. 勘定科目「預り金」—補助科目「6.○○会費」
  7. 勘定科目「預り金」—補助科目「9.その他」

のようにして、それぞれを細分化する。

 

 

まとめ

対外的な表示科目は”すっきり”となっているものの、

内部的には、勘定科目に補助科目を”しっかり”と持たせることによって、

残高や、増減の確認が煩雑にならずに、スムーズに行えることが多くあります。

 

もちろん、

事業の内容や、取引の頻度などによって、

補助科目の持たせ方はそれぞれですので、

事業者において、最適な方法を検討してみることをお勧めいたします。

 

 

 

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。