企業版ふるさと納税の税制優遇措置と税制面以外のメリットについて
はじめに
平成28年度税制改正において、志のある企業が地方創生を応援する税制として、
地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が創設されました。
平成28年4月から令和2年3月31日までの特例措置となっています。
今回は、企業版ふるさと納税の税制上の優遇措置のほか、
税制面以外のメリットについても見ていきたいと思います。
企業版ふるさと納税の税制上の優遇措置
概要
企業版ふるさと納税を行い法人税等について税制上の優遇措置を受けると、通常の税軽減効果 約3割に加え、税額控除3割の税軽減効果が得られるので、
合計で通常の2倍の約6割の税軽減効果が得られます。結果として、企業側の実質的な負担は約4割となります。
企業版ふるさと納税は、個人のふるさと納税のように実質2,000円の負担で返礼品を受け取るような制度ではありません。
寄付をすることによる税軽減効果は得られますが、当然のことながらキャッシュの減少が生じます。
対象事業
地方公共団体が地域再生計画を作成し、内閣府により計画が認定された事業が対象となります。
内閣府 地方創生推進事務局の”企業版ふるさと納税ポータルサイト”にて対象事業を検索することができます。
(平成30年度末までに全国で613事業の認定実績があります。)
税額控除の内容
(例)
対象事業に100万円の寄附をすると、
損金算入 約30万円(通常の税軽減効果)
税額控除 30万円 (法人住民税20万円+法人事業税10万円)
合計 約60万円の税軽減
実質的な負担額 約40万円
対象とならないケースなど
- 寄附額の下限は10万円
- 本店が所在する地方公共団体への寄附は対象外(個人のふるさと納税と同様に、他の自治体への寄附が対象)
- 東京都や三大都市圏の既成市街地等に所在する市区町村は対象外
- 寄附の代償としての経済的な見返りは禁止
企業版ふるさと納税の税制面以外のメリット
企業版ふるさと納税には上記のような税制上の優遇措置がありますが、
それでも、個人のふるさと納税と比較すると、金銭面での勘定を見ると結局は約4割の負担となってしまいます。
本来、寄附とはそういうものなのですが、
そうは言っても ”情けは人の為ならず”、
寄附をする企業側としても何らかのメリットを意識してみたいものです。
BtoBビジネスと、BtoCビジネスで多少の違いがあるかもしれませんが、
少なくとも次のようなメリットが共通してあるといえるでしょう。
企業の広告宣伝とイメージアップ
CM放送や新聞広告、看板の設置、インターネット広告など様々な広告宣伝の方法がありますが、
企業版ふるさと納税をしたことにより、寄附企業名が自治体のホームページや施設などに掲載されることによって、
より社会貢献度合いの高い広告宣伝効果が見込まれます。
「このような企業と取引したい」
「このような企業から商品を購入したい」
といった広告宣伝効果が期待できます。
従業員の満足度アップ
寄附を行う企業で働く従業員のモチベーションアップにつながります。
自分や仲間の所属する企業の社会的存在価値の高まりを認識することによって、
従業員の仕事に対する向上心が高まり、従業員の持つ個々の能力や可能性を最大限に発揮できるようになってくるでしょう。
また、従業員本人のみならず、そのご家族の方々の満足度もアップされるのではないでしょうか。
優秀な人材の獲得に貢献
都市部に比べ、地方においては、採用活動に不利な面があるところは否めません。
地方創生応援のための寄附実績をホームページや採用活動の場においてアピールすることによって、
例えば、地方にある工場や支店での現地採用などの際に、優秀な人材の採用ができるようになるなど、優位性を発揮できるようになると考えられます。
滋賀県の企業版ふるさと納税対象事業
参考までに、
この記事の投稿時点で、宮本会計事務所の所在する滋賀県内の企業版ふるさと納税の対象事業は次のとおりです。
- にぎわい創生で取り組む琵琶湖保全再生プロジェクト(滋賀県)
- 滋賀で農業はじめようプロジェクト(滋賀県)
- 琵琶湖博物館リニューアルプロジェクト(滋賀県)
- 「滋賀体感」首都圏プロモーション事業)(滋賀県)
- 地域ぐるみの人材育成プロジェクト(高島市)
- 日野町観光受入体制整備プロジェクト(日野町)
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
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