健康診断や人間ドックについての消費税の取り扱い
健康診断や人間ドックについての消費税の取り扱い
毎年年度の一定時期に、または中途入社も含め会社に入社したタイミングに、あるいは一定の環境のもとで勤務をしているため半年ごとの受診が必要とされるためなどにより、健康診断あるいは人間ドックをすることが多いと思います。
会社としては、従業員の健康管理の義務を果たすために、健康診断や人間ドックを受診させて、その費用を会社が負担することと思われます。
今回は、健康診断や人間ドックを受診したときの消費税の取り扱いについて見てみたいと思います。
消費税では原則、「治療」は非課税、「診断」は課税
消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行う取引を課税の対象としています。
しかし、これらの対象取引であっても、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象とすることになじまないものや、社会政策的な配慮から課税しない「非課税取引」が定められています。
非課税となる取引はいくつもの項目存在します。
その中の一つとして、社会政策的な配慮を理由として、
「健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など」
については非課税とされています。
治療や、医療、療養については非課税とされているのです。
(ただし、美容整形や、病院の差額ベッド代、市販薬など一定のものは非課税とはされていません。)
病気やけがをしたときには、基本的には健康保険証を使って治療することができますが、健康診断や人間ドックには健康保険証が使えません。
これは、健康診断や人間ドックは、「治療」とは取り扱われないことから、消費税の非課税とされる取引には当たらず、課税される取引とされています。
勘定科目は「福利厚生費」などで処理
会社として、健康診断を受けた人には、法定の義務として基本的には会社がその費用を負担することとなっています。
この場合には、消費税の取り扱いは「10%課税扱い」となり、会社としては「福利厚生費」などで処理することとなります。
人間ドックや、オプション健診の個人負担部分は医療費控除の対象になるか
人間ドックについても健康保険組合などが一部負担したり、また、健康診断に際しても有料のオプション健診が設けられていたりします。
これらの場合には、個人負担となる費用が発生するのですが、この個人負担部分については、所得控除である医療費控除の対象には原則としてなりません。
しかし、人間ドックや健康診断の結果、重大な疾病が発見され、かつ、その人間ドックや健康診断に続いてその疾病の治療を行った場合には、その人間ドックや健康診断は治療に先立って行われる診察と同様に考えることがができることから、その個人負担となった人間ドックや健康診断等のための費用は医療費控除の対象となります。
まとめ
- 健康診断や人間ドックは、消費税の課税取引である。
- 治療ではないので、消費税は非課税とならない。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。