非居住者であった期間中に支払った保険料は、所得控除の対象となるか
非居住者であった期間中に支払った保険料は、所得控除の対象となるか
日本に家族を残して単身で海外支店や海外子会社での勤務を行っていた場合で、例えば3年間とか5年間の海外での勤務を終えて日本に戻ったときに、その海外での勤務期間中に支払った保険料がその年の年末調整等において所得控除の対象となるかどうかについて、見てみましょう。
非居住者期間中に支払う保険料
会社においては、海外で勤務する従業員本人のために支払う給与のほかに、日本に残っている家族のために支払う留守宅給与がありますが、この留守宅給与からは社会保険料などの諸々の控除が行われます。また、支給された留守宅家族への給与からは、生命保険や地震保険に加入していれば生命保険料や地震保険料が支払われることとなります。
居住者期間に支払った保険料が所得控除の対象
このような、従業員本人が非居住者である期間中に支払った保険料については、所得控除の対象にはなりません。
日本に帰国して、年の中途において居住者になってから支払った保険料が所得控除の対象となります。
したがって、年末調整においては、非居住者期間中に支払ったものは所得控除の対象とはしませんし、確定申告する場合においても同様に、非居住者期間中に支払った保険料は所得控除の対象とはなりません。
判定の時期
居住者期間中に支払った保険料なのかどうかは、支払いの時点で判定することになります。
給与については支給期の到来したものが源泉の対象となりますが、保険料にかかる所得控除については期日ではなく支払いの時点で判定することになります。
例えば非居住者期間中に支払期限が到来している保険料であっても、帰国後の居住者期間中に支払ったとしたら、その保険料は所得控除の対象となります。
ひとりごと
ということは、帰国日が迫ってきているとか、あらかじめ帰国日の予想がつくならば、(あくまでも所得控除だけを考慮すれば、)支払期限通りに保険料を支払わずに支払い時期を遅らせて、帰国後の居住者になってから支払ったほうが、税金の計算上は有利になると考えられます。
もっとも支払時期を多少遅らせることができるのは生命保険料くらいでしょうし、そもそも前納しておけば期間按分されるものでもあります。
そこまでして所得控除を有利にしても影響額はさして大きくありませんので、どこまで調整するかは自身の判断ということでしょう。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。
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