表彰の記念品としてカタログギフトなどを支給された場合の所得税の課税

永年勤続表彰などで役員や従業員に記念品を支給した場合

永年勤続表彰などで、従業員に現金や商品券を支給した場合には所得税の源泉の対象となりますが、商品がカタログの中から自由に選択できるカタログギフトなどを支給された場合に所得税の源泉徴収の対象となるかどうかを見てみましょう。

 

記念品は一定の要件を満たせば課税しなくて差し支えない

永年勤続表彰などにおいて、役員や従業員を対象に記念品を支給することにより、その役員や従業員が受ける利益で「一定の要件」を満たすものについては、基本的には課税しなくて差し支えないこととなっています。

 

一定の要件とは

次の全ての要件に該当するものは、課税しなくて差し支えないこととなっています。

  1. 役員や従業員が得る利益の額が、その役員や従業員の勤務期間等に照らして社会通念上相当であると認められるもの
  2. その表彰が、おおむね10年以上勤続した人を対象としたものであり、かつ複数回表彰を受ける人については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること

 

したがって、例えば、勤続5年、10年、15年、20年、25年などのように5年間隔で表彰して記念品を支給するような場合には、勤続5年目の表彰については課税することが必要となってきます。

また、記念品の金額については、一般的には、勤続年数に応じて、1万円から5万円相当のものなら差し支えない範囲であると言えるでしょう。勤続年数が長くなれば、20万円相当の記念品の支給もありえるのではないでしょうか。

ただし、記念品が金銭であればもちろん課税されますし、商品券などのように換金性が高いものも実質的に金銭と同様であるものとして課税されます。

 

カタログギフトなどの場合は課税

金銭や商品券などのように換金性が高く自由度が高いものであれば課税されますが、それに続くような自由度の高いものとして、カタログギフトなどがあります。

このようなカタログギフトですが、

結論的には、永年勤続表彰を受ける役員や従業員が、カタログギフトなどのように、掲載されている商品の中から自由に選択できるようなものである場合については、これは金銭を支給した場合に似た効果をもたらすものと考えられており、その役員や従業員が得られる利益相当額を給与所得として課税することが必要となっています。

カタログであっても課税されない場合

仮に、カタログの中から選ぶことができるものが支給されたとしても、課税しなくても差し支えないことがあります。

金額も内容も固定されたものがカタログに掲載されているようなところから選ぶような場合です。

たとえば、男性従業員にはネクタイピン、女性従業員にはペンダントを贈呈することとしており、これだけが掲載されたカタログから趣味の色や形状で選ぶような場合には、商品が限定されており自由度が高いとは言えませんので、あえて給与所得として課税することは必要ないと考えられます。

 

ひとりごと

最近では、表彰で支給するものはどのようなものが喜ばれているのでしょうか。

社名がデカデカと入っているものや、身に付けるものなのに色やサイズが決まったものは当然敬遠されがちだと思います。

個人的には、経験や体験につながるようなものが嬉しいですね。

旅行や観劇などがいいですね。

あと、表彰の品としてはどうかと思いますが、防災グッズのようなものでも嬉しいです。

 

きっちりと扶養の範囲内で働いているのに、もし記念品で課税されて範囲外になってしまったら、いくら善意だと分かっていてもおこりだすパートさんがいるかもしれませんね。

 

まとめ

  • 永年勤続表彰などで支給されるものとして、金銭や商品券のように換金性の高いものは所得税が課税される。
  • 金銭や商品券などと同じく、自由に商品が選択できるカタログギフトなども所得税が課税される。
  • カタログギフトなどであっても、あえて課税しなくて差し支えないものもある。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。