妻の年金から控除される社会保険料を、夫の所得控除にしたいけど。。。
妻の年金から控除される社会保険料を、夫の所得控除の対象にすることができるかどうか
夫婦ともに年金を受け取っていて、例えば、医療費控除などの所得控除があるために夫が確定申告を行う場合とか、夫に年金とは別に給与収入があるために確定申告を行う場合とかにおいて、妻の年金から特別徴収されている社会保険料を夫の所得控除の対象にしたいと思われる方がいらっしゃるように感じることがあります。
今回は、妻の年金から特別徴収されている社会保険料を夫の社会保険料控除にできるかどうかについて、見てみましょう。
社会保険料控除とは
居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。
これを社会保険料控除といいます。
控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金等から差し引かれた金額の全額です。(所得税法)
妻の年金から特別徴収されている介護保険料など
夫が扶養している妻の年金から介護保険料などが特別徴収されている場合、その社会保険料を支払ったのは妻になります。
特別徴収で年金から天引きされているので、負担したのは妻ということになるのです。
このような介護保険料などは夫が支払った社会保険料とはならないため、夫の社会保険料控除の対象とすることはできません。
妻の年金から特別徴収されている後期高齢者医療制度の保険料
妻の後期高齢者医療制度の保険料を妻の年金から特別徴収された場合に、その保険料は妻の社会保険料控除の対象となります。
後期高齢者医療制度においては、原則として、その保険料が年金から特別徴収の方法により徴収されています。
妻の年金から特別徴収される保険料を支払ったのは妻となるため、その保険料については妻の社会保険料控除の対象となるのです。
特別徴収で年金から天引きされているので、負担したのは妻ということです。
夫が支払った社会保険料とはならないため、夫の社会保険料控除の対象とすることはできません。
後期高齢者医療制度の保険料を口座振替により支払った場合
後期高齢者医療制度の保険料については、市区町村等へ一定の手続を行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、口座振替により保険料を支払うことが選択することができます。
この場合には、口座振替によりその保険料を支払った人が妻と生計を一にする夫であるならば、その夫に社会保険料控除が適用されることとなります。
後期高齢者医療保険
後期高齢者医療保険は75歳以上の後期高齢者と一定の障害がある65歳以上の人で、生活保護の対象となっている人などの一定の人を除いた人を対象としている保険制度です。
医療機関における窓口負担の金額が原則1割負担となり、保険料は原則として年金から特別徴収となりますが、口座振替により保険料を支払うこともできるようになっています。
まとめ
- 妻の年金から特別徴収されている介護保険料などは夫の社会保険料控除の対象とならない。
- 妻の年金から特別徴収されている後期高齢者医療制度の保険料は夫の社会保険料控除の対象とならない。
- 夫の口座から振替られている妻の後期高齢者医療制度の保険料は夫の社会保険料控除の対象となる。
保険料の負担者は社会保険料控除の適用を受けるのですが、支払者が誰であるかが重要ということです。
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