固定資産を譲渡した際に買主から収受した固定資産税相当額についての譲渡所得の取り扱い

固定資産を譲渡した際に、買主から収受した固定資産税相当額についての譲渡所得の取り扱い

固定資産税は、各年の1月1日時点の状況により納税義務者と税額が確定されるものですが、

固定資産の譲渡があった場合に、固定資産の譲渡代金のほかに、一例として、固定資産税の金額のうち譲渡日から12月31日までの期間に対応した部分の金額のやり取りが行われることがあります。

 

5月に固定資産の譲渡があった場合には、

1月から4月までの固定資産税相当額については売主の負担とし、

5月から12月までの固定資産税相当額については買主の負担とするような取り決めが、

固定資産の売買に関連してされることがあります。

 

このように、固定資産の売買に関連して固定資産税相当額のやり取りが行われた場合、売主の譲渡所得の金額はどのようになるかについて、見てみましょう。

 

 

固定資産税は各年1月1日の状況により「確定」するもの

固定資産税は、固定資産の所有者に対して課される地方税です。

そして、固定資産税は、各年1月1日の状況により、納税義務者も税額も「確定」するものとなっています。

「確定」しているものなので、年の中途においてその固定資産の売買があったからといっても、納税義務者も税額も変更することはありません。

したがって、年の中途において固定資産の売買をした当事者間において、1年間分の固定資産税額を、年内におけるそれぞれの所有期間に応じて按分したところで、

売買後に所有者となった買主には、その年分の固定資産税の納税義務はないまま、ということになります。

固定資産税を納付した売主が買主に対して未経過期間分の固定資産税の求償権を取得するものではないのです。

 

 

固定資産税相当額も「譲渡対価に含める」

固定資産の取引上の慣行として、固定資産の売買に関連して、固定資産売買契約書に記載の物件の譲渡以外の取引が生じる場合があります。

冒頭の例のように、固定資産税相当額を売買後は買主が負担するというような場合の金銭の収受に関しては、固定資産売買契約書ではなく、別途、覚書や念書あるいは口頭などで取り交わされることがあります。

 

しかし、たとえ別途取り交わされたものであったとしても、

このような固定資産税相当額の金銭の収受は、売買の当事者間において「固定資産税相当額の精算」という固定資産売買契約書に織り込まれた条件の一つに過ぎないといえます。

したがって、仮に固定資産税相当額について、固定資産の譲渡対価として表現されていなかったとしても、売買の当事者間では「固定資産税相当額の精算」も含めたところで譲渡対価の合意がされていると考えられます。

 

つまり、売主が収受した固定資産税相当額も譲渡対価に含めて、譲渡所得の金額の計算上総収入金額に含めることとなるのです。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。