非上場の会社から配当金を受け取ったとき

非上場の会社から配当金を受け取ったとき

3月決算の会社ですと、5月末や6月初旬のこの時期になると、オーナー会社の社長は、株主でもある自分の会社から配当金を受け取ることが多いのではないでしょうか。

非上場の会社から配当金を受け取ったときにはどのようになるのかについて、見てみましょう。

 

非上場の会社から受け取った配当金の所得税等の源泉税率は20.42%

配当所得については、配当等の支払の際に所得税等が源泉徴収されることとなっています。

(源泉徴収された所得税等は、原則として、その年分の納付すべき所得税額等を計算する際に差し引きます。)

 

非上場の会社から受け取った配当金は、20.42%の税率によって所得税および復興特別所得税が源泉徴収されます。

なお、非上場の株式については地方税は徴収されません。

 

非上場株式にかかる所得税等の税額の計算方法

非上場会社からの配当等については、原則として、総合課税の対象となる所得となっていますが、選択によって申告不要(確定申告不要制度の選択)とすることができる場合があります。

 

総合課税

総合課税とは、各種所得の金額を合計して所得税額を計算するというものです。

非上場会社からの配当金に係る配当所得については、

同じく総合課税とされている給与所得や事業所得などと合算して、超過累進税率(所得が高くなるほど税率が高くなるように設定された税率)により課税されます。

 

なお、総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き、二重課税を排除するための配当控除の適用を受けることができます。

 

申告不要

配当所得のうち、一定のものについては納税者の判断により所得税の確定申告をしなくてもよいこととされています。

これを「確定申告不要制度」といいます。

非上場会社からの配当等で確定申告不要制度の対象とすることができる配当等は、以下のとおりとなっていますが、

この制度を適用するかどうかは、1回に支払を受けるべき配当等の額ごとに選択することができます 。

(なお、確定申告不要制度を選択した配当所得に係る源泉徴収税額は、その年分の所得税額から差し引くことはできません。)

 

 

申告不要とすることができる非上場会社からの配当等の金額

一回に支払を受けるべき配当等の金額が、

 

「10万円 × 配当計算期間の月数 ÷ 12」

 

により計算した金額以下である場合(少額配当である場合)には、所得税の確定申告を要しません

つまり申告不要の選択をすることができます。

 

なお、上記の算式の「配当計算期間の月数」については、

配当計算期間が1年を超える場合には12ヶ月として計算し、配当計算期間に1月に満たない日数がある場合にはこれを1ヶ月として計算します。

 

地方税の申告

非上場の会社から受け取った配当等を申告不要としたときに忘れがちなのが住民税の申告です。

非上場の会社から受け取った配当等については、20.42%の税率で源泉徴収されますが、これはすべて所得税等となっており、ここには住民税は含まれておりません。

つまり、非上場の会社の配当金が支払われたときには、住民税はまだ支払われていない(控除されていない)ということになります。

 

また、少額配当である場合の確定申告不要制度は、所得税等について設けられた制度であって、住民税にはこのような制度は設けられていないので、

たとえ、確定申告不要制度を選択したとしても、住民税については別途、自ら申告をする必要が生じてきます。

 

ちなみに、上場会社の株式の配当等(特定配当等)であれば、所得税と住民税で課税方式を変更して別々にすることも可能となっていますが、

非上場株式の配当については住民税においては総合課税での申告となっております。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。