減価償却の開始の判断となる「事業の用に供した日」

減価償却の開始の判断となる「事業の用に供した日」

固定資産は取得しただけでは減価償却を開始することはできず、その固定資産を事業の用に供したことをもってはじめて減価償却費の計上をすることができることとなっています。

それでは減価償却をすることができるようになる「事業の用に供した日」とはどのようなものかについて、見てみましょう。

 

「事業の用に供した日」とは

「事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をいいます。

例えば、機械等を購入した場合は、機械を工場内に搬入しただけでは事業の用に供したとはいえず、その機械を据え付け、試運転を完了し、製品等の生産を開始した日が「事業の用に供した日」となります。

 

なお、「事業の用に供した日」とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではありません。

資産を事業の用に供したか否かは、業種・業態・その資産の構成および使用の状況を総合的に勘案して判断することになります。

 

 

「事業の用に供した」とは言えない例

次のような事実があっても、それだけでは事業の用に供したとはいえません。

たとえば、

  • 固定資産の発注をした。
  • 固定資産が納品された。
  • 工場に固定資産を据え付けた。
  • 固定資産の代金を支払った。

など、このことだけをもって、「事業の用に供した」とはいえません。

あくまでも、「事業の用に供した」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至ったことをいうのです。

 

稼働していなくても「事業の用に供した」と考えられる例

例えば、賃貸マンションの場合には、建物が完成し、現実の入居がなかった場合でも、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えられますし、

製造設備の場合には、まだ受注はできていなかったとしても、注文さえ入ればいつでも製造できるような状態になっていれば、基本的には、事業の用に供したものと考えられます。

 

ほかにも、岸壁クレーンについては、貨物船の入港待ちで、入港さえすればいつでも荷役できる状態になっていれば、事業の用に供したものと考えられますし、

非常用発電装置については、備え付けが完了していれば、非常時が発生しないため実際に発電をしていなかったとしても、事業の用に供していると考えられます。

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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。