未確定のクレーム費用、逸脱費用などの事後的費用の見込み計上

未確定のクレーム費用、逸脱費用の見込み計上

収益として売上高に計上した事業年度終了の日までに、その売上高に対応する売上原価、工事原価その他の原価の額が確定していない場合には、その日の状況において原価の額を適正に見積もって計上されることとなっています。

それでは、出荷販売した製品や商品について、納品後一定期間内は顧客からのクレームを受けたり、逸脱が発見されたりした場合に無償でこれに対応しているようなときに、当期に納品した製品や商品に対応するクレーム費用や逸脱対応費用を、過去の実績等に基づいて当期末に合理的に算定して損金の額に算入することが認められるのかどうかについて、見てみましょう。

 

 

事後的費用の見積もり計上は認められない

未確定の費用が売上原価等となるべき費用なのかどうかは、その売上原価等にかかる資産の販売等に関する契約の内容や、その費用の性質等を勘案して合理的に判断することとなっています。

たとえその資産の販売等に関連して発生する費用であったとしても、単なる事後的な費用については、売上原価等として取り扱うべき費用とはされておらず、期末においてあらかじめ見積もり計上することは認められておりません。

 

したがって、上記の、出荷販売した製品や商品について、納品後一定期間内は顧客からのクレームを受けたり、逸脱が発見されたりした場合に無償でこれに対応しているような場合に、当期に納品した製品や商品に対応するクレーム費用や逸脱対応費用を、たとえ過去の実績等に基づいて当期末に合理的に算定していたとしても、事後的な費用となるため損金の額に算入することは認められないこととなります。

そもそも、これらの費用は、もし当期に計上する必要があるならば、管理会計や、業績評価をする上でのみ社内ルールに従って都合の良いように計算すればよいものです。

 

損金の額に算入する費用となるかどうかについては、あくまでも、債務確定主義によって判断することとなるものです。

 

 

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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。