転籍したことにより受け取る格差補填金の所得の取り扱い

転籍したことにより受け取る格差補填金の所得区分

国内の子会社やグループ会社などに出向させていた社員を、一定の年齢に達したからなどの理由で、その社員をそのまま出向先の会社に転籍させることがあります。

子会社やグループ会社への転籍については、その親会社に在籍していたときと比べて、(一般的な話ではありますが、)給与水準が下がることが多いように思われます。

 

給与水準が下がる会社への転籍にあたっては、その前提として、今後数年間は元々社員として勤務していた親会社の給与水準を保証することとしていることが少なからず見受けられるのですが、

このように、転籍後も元の会社の給与水準を維持させるために、転籍後の会社が支給する給与との差額をその社員に支給する(格差補填金を支給する)こととした場合の所得をどのように取り扱うかについて、見てみましょう。

 

格差補填金は「給与所得」として取り扱う

雇用関係については、子会社やグループ会社などに転籍した時点で、元々社員として勤務していた会社との雇用関係は消滅します。

しかしながら、格差補填金として、転籍する前の会社から転籍した社員に対して支給される金額については、給与所得に該当することとなってます。

 

この場合の、格差補填金の支給のされ方としては、転籍前の会社から転籍者に対して直接支給されることもあれば、転籍した子会社やグループ会社などを通じて転籍者に支給される場合もありますが、

直接本人に支給しようが、転籍後の会社を経由して支給しようが、その内容には違いはなく、どちらもその転籍者の給与所得に該当することとなっています。

 

 

源泉徴収が必要

転籍前の国内の会社から転籍者に対して格差補填金が直接支給される場合には、転籍前の会社が給与等の支払者として源泉徴収する必要があります。

 

この場合、転籍後の国内の会社から支給される給与が主たる給与に該当するので、

転籍前の会社から転籍者に対して直接支給される毎月の給与(格差補填金)については、

源泉徴収税額表の乙欄を使用して源泉徴収することになります。

 

 

まとめ

転籍者に対して支給される格差補填金は給与所得となる。

転籍前の会社から転籍者に直接支給する場合には、転籍前の会社が源泉徴収(乙欄を使用)する。

 

 

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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。