「登録国外事業者」から提供を受ける役務提供の仕入税額控除について
「登録国外事業者」から提供を受ける役務提供の仕入税額控除について
事業者が国内において行った課税仕入れのうち、国外事業者から受けた「電気通信利用役務の提供」には、
「事業者向け」のものと、
「事業者向け以外のもの(消費者向け)」があります。
「事業者向け」のものについては、別の記事で少し触れていますが、
(↓ こちら)
リバースチャージ方式の申告対象外の課税期間は、特定課税仕入れの仕入税額控除はできない
たとえば、アメリカのアマゾンのサービスを利用するなど、「事業者向け以外(消費者向け)」のサービスの提供を受けた場合に、その対価について仕入れ税額控除ができるのかどうかについて、見てみましょう。
「消費者向けの電気通信利用役務の提供」とは
「消費者向け電気通信利用役務の提供」とは、「事業者向け以外の電気通信利用役務の提供」のことで、
たとえば、次のようなものが該当するとされています。
- 広く消費者を対象に提供されている電子書籍・音楽・映像の配信など
- ホームページなどで、事業者を対象に販売することとしているものであっても、消費者をはじめとする事業者以外の者からの申込みが行われた場合に、その申込みを事実上制限できないもの
文言では、「消費者向け」となっていますが、「消費者向けの電気通信利用役務の提供」は、消費者が提供を受けるものに限られておらず、実際には事業活動を行っている者が提供を受けるものも含まれていることとなっています。
国外事業者から受けた「消費者向け電気通信利用役務の提供」は原則、仕入税額控除できない
国外事業者から受けた消費者向けの電気通信利用役務の提供については、いまのところ、基本的には、仕入税額控除が制限されています。
つまり、原則としては、仕入れ税額控除ができないということです。
しかし「登録国外事業者」からの「消費者向け電気通信利用役務の提供」は仕入税額控除ができる
国外事業者から受けた「消費者向けの電気通信利用役務の提供」については、基本的には、仕入税額控除ができないこととされていますが、
たとえば、海外のアマゾンのサービスのように、その国外事業者が「登録国外事業者」である場合には、その受けた役務提供については、仕入税額控除ができるようになっています。
これは、きちんと手続きをとった「登録国外事業者」は、日本の消費税を納めるようにしているので、その「登録国外事業者」のサービスを利用する事業者には仕入税額控除を認めることとしたものです。
国にとってみれば、消費税のとりっぱぐれがなくなるのなら仕入税額控除を認めよう、という考え方だと思います。
なお、「登録国外事業者」にはどのような会社があるのかについては、国税庁のホームページに掲載されています。
(令和2年9月時点で、100社程度の国外の事業者が登録されています。)
仕入税額控除の要件
「登録国外事業者」からの「消費者向け電気通信利用役務の提供」について仕入税額控除を行うためには、一般的な課税仕入れの場合と同じように、
帳簿と請求書等への記載事項の要件と、その保存要件があります。
帳簿と請求書等への記載内容
帳簿と請求書等へ記載する一般的な内容としては、
- 事業者の氏名または名称
- 年月日
- 取引内容
- 税込金額
がありますが、
これらに加えて、
- 登録国外事業者名簿の「登録番号等」
も記載することになります。
帳簿への記載は事業者側で記載できますが、請求書等への記載については「登録国外事業者」側で行うこととなっています。
(「登録国外事業者」によっては、個別の記載ではなく、包括的な記載であることも見かけます。)
なお、電子的な請求書等の発行を受けている場合には、紙ベースによる保存の代わりに、電子データでの保存でも可とされています。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。