フードバンクに食料品を提供したときの損金算入
フードバンクに食料品を提供したときに損金算入は可能なのか
社会福祉活動の一環として、食品を取り扱う会社などが、フードバンク活動を行う団体に対して、食品を提供するようなことがあります。
提供する食品としては、食品衛生上の問題はないものの、製造してから一定期間が経過してしまい、
業界の商習慣や、会社の商品管理のルール上、商品として通常の販売が困難となったものなどが該当します。
たとえば、箱が凹んでいるなど包装に傷みがあるものとか、過剰在庫などにより賞味期限近くなった商品のほか、
一定期間ごとに買い替える備蓄品などように、販売するにしては規格外になってしまったけれど、食料品としてはまだまだ問題がないようなものです。
従来は、これらの食料品は、これまで業者の手によって廃棄していたものも多いと思われますが、
それをフードバンクが無償で回収するとなれば、会社側としても、保管料や引き取り代金が節約できるなどのメリットが生じてきます。
食料資源の有効活用ということで、会社のイメージアップにもつながるでしょう。
今回は、このようなフードバンクへの食料品の提供に要する費用が、その提供時の損金の額に算入することができるのかどうかについて、見てみましょう。
実質的に商品廃棄として行われるものなら、提供に要する費用は損金算入
一般的には、会社がその資産(食料品)を無償で提供したような場合には、その提供時の時価を一般の寄附金として一定の限度額までしか損金算入することができないようになっています。
しかしながら、フードバンクへの食品の提供が、実質的に商品廃棄として行われるものなど一定の条件に該当すると認められれば、
その提供のために要する費用は、寄附金以外の費用(全額が損金算入できる費用)として取り扱って差し支えないとされています。
なお、一定の条件としては、フードバンクへの食料品の提供について、次の事実が認められなければならないとされています。
- 食料品の提供が、社内ルールなどに従って、廃棄予定の食品をフードバンクが回収するものであること。(実質的に商品の廃棄処理の一環で行われる取引であること。)
- 会社とフードバンクとの間の合意書において、提供した食品の転売などの禁止や、その食料品の取扱いに関する情報の記録、保存、結果報告などのルールを定めており、提供した食品が目的外に使用されないことが担保されていること。また、会社側においても提供した食品の使途が確認できること。
ちなみに、上記のような商品廃棄のケースでなくても、たとえば、広告宣伝のために食料品を提供する場合には、
その提供に要する費用は広告宣伝費として損金の額に算入することができます。
(国税庁の質疑応答事例より)
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。