自然災害等に備えた防災グッズの購入、防災設備の設置
自然災害等に備えた防災グッズの購入、防災設備の設置
ほぼ毎年のように日本のどこかで、近年最大と呼ばれるような、なんらかの自然災害が発生していますが、
そのような自然災害に備えて、会社は独自に防災グッズを購入したり、防災設備の設置をしたりしているところがあると思います。
会社が備える防災グッズとしては、
たとえば、軍手やビニール袋などのほか、非常用食品などもありますが、いずれも1点あたりの金額としたら、高くてもせいぜい数千円程度ではないでしょうか。
また、会社が災害に備えて設置する設備としては、
たとえば、工場に設置するような自動消火設備がありますが、これは金額的には30万円以上するものが多いと思われます。
このような防災グッズの購入が少額減価償却資産となるのか、消耗品費となるのかどうか、
また、防災設備の設置についてはいつから減価償却を行えばよいのかについて、見てみましょう。
防災グッズの購入はどの事業年度の損金になるか
基本的には消費時の損金
軍手やビニール袋、非常用食品などは、もともと短期的に消費されるようなものであるので、
性格的には消耗品の性格を持ったものであり、そもそも減価償却を行うようなものではありません。
消耗品は、その使用がされないもの、貯蔵中のものについては、購入時に消耗品費として処理することはできず、
期末において未使用のものは、棚卸資産に計上することとなります。
防災グッズの消費は備え付けたとき
しかしながら、冒頭にあるような、会社が備える防災グッズはどうでしょうか?
いつの時点をもって消費したと考えるのがよいのでしょうか?
通常は、消耗品は、その物が実際に使用されたときに消費されたと考えるのですが、
防災グッズについては、災害時に備えて常備するものであるので、その備え付け自体が目的となっているものです。
したがって、実際に災害が発生したことにより使用されたかどうかというようなことは考慮する必要はなく、
災害時に備えて、備品庫などに備蓄を開始した時点をもって、その消耗品が消費したと考えるのが理にかなっています。
つまり、防災グッズについては、備え付けた事業年度の損金に算入するということになります。
防災設備の設置はどの事業年度から減価償却を行うか
基本的には使用開始時に償却開始
まず、工場の自動消火設備などは、減価償却資産に該当することになるのですが、
基本的に減価償却資産については、事業の用に供されてはじめて償却を開始することが認められています。
とすると、工場の自動消火設備などは、実際に工場に火災が発生しなければ稼働することもなく、
償却を開始することができないのでしょうか?
防災設備の償却は備え付けたときから使用開始
このような防災設備も、上記の防災グッズと同じように、
実際に災害が発生して使用されたときが事業供用日とされるのではなく、
その防災設備が設置されて、実際の災害の際にいつでも稼働できるような状態になったときが
事業供用日とされています。
これは、防災グッズと同じく、災害などの非常時に備えて設置することが目的とされているからです。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
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