弁護士に支払った着手金の取り扱い

弁護士に支払った着手金の取り扱い

会社が何かのトラブルを抱えているときや、何か頼みごとをするときに、弁護士に相談し、その解決のために、着手金を支払うことがありますが、

果たしてその着手金をいつの費用に計上すればいいのか迷うことがあります。

 

これについては、弁護士に何を依頼するのか、目的が何なのかによって、その取扱いが違ってくると考えられます。

今回は、弁護士に支払った着手金の取り扱いについて、見てみましょう。

 

 

支払時の費用となるケース

次のような目的で弁護士費用を支払ったときには、その弁護士への支払い時に損金に算入することとなります。

  • 債権を取り立てるため
  • 自社が所有する不動産の入居者の立ち退きをさせるため
  • 自社が営業妨害を受けたときの対応のため
  • 自社が損害を受けたときの対応のため

など

 

これらの問題を解決するために弁護士に着手金を支払ったような場合には、その問題が実際に解決するまで仮払金として処理することは必要なく、

弁護士に支払ったときに、支払時の損金に算入して差し支えないと考えます。

 

 

前払費用となるケース

たとえ上記のような弁護士費用の支払いであったとしても、

その弁護士への依頼が長期間になると予測されることから、

たとえば、

  • 数年分の顧問料として一括して支払った場合
  • 将来発生するであろう諸経費の前払いとして一括して支払った場合

には、

その部分については、支払時の損金に算入するのではなくて

前払費用や仮払金として処理することとなります。

 

 

資産の取得価額となるケース

弁護士への支払いの目的が、

たとえば、

  • 不動産や機械装置などの資産を購入するため
  • 特許権などの工業所有権を購入するため
  • 土地を購入後のその土地の借地人を立ち退かせるため

など

資産の取得価額を構成するような弁護士費用である場合には、

その支払いについては、支払時に損金に算入するのではなくて

その資産を取得するまでは仮払金として処理しておき、

その後実際に資産を取得したときに取得価額に算入することとなります。

 

もしも、その資産の購入をすることができなかったときや、資産を購入しなくなったときには、

その仮払金を費用に振り替えて、損金の額に算入することとなります。

 

 

固定資産の取得価額

購入により取得した固定資産の取得価額は、その資産の購入代金に、引き取り運賃、荷役の費用、購入手数料、その他その資産を購入するために要した費用の額、

および、その資産を事業の用に供するために直接要した費用の額を加算した金額となっています。

 

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。