過去に加入した全損保険を払い済みにしたとき
過去に加入した全損保険を払い済みにしたとき
会社が過去に加入していた自己を保険金受取人とする全損タイプの生命保険(掛け金の全額が損金とできる保険)を、
資金繰りの都合がつかなくなったことや、解約返戻金のピークを迎えたことなどにより、払い済みにすることがあります。
普通に解約すれば保険会社から解約返戻金が入金されて、その金額は会社の益金に算入することとなるのですが、
数年後の役員退職金を支給するときの損金計上時にタイミングを合わせたいと考えているため、
すぐには解約にしないで、いったんは払い済み保険の保険に変更するようなケースです。
今回はこのように、過去に加入した全損保険を、いわゆる払済保険とした場合における、益金算入について、見てみましょう。
全損保険を払済保険に変更した場合の益金算入
会社が既に加入している生命保険を払済保険に変更した場合には、
原則として、その変更した時における解約返戻金相当額と、保険積立金などの勘定科目で資産計上している金額との差額を、
その変更した事業年度の益金または損金として取り扱うこととなります。
冒頭の、全損タイプの生命保険であれば、資産計上している金額はゼロということとなりますので、
払済保険への変更時の解約返戻金相当額がそのまま全額「益金に算入」されることとなります。
このような取り扱いになるのは、払済保険への変更がされた場合には、それはいったん既に加入している生命保険の保険契約が清算されたと同等に扱うようになっているからです。
つまり、払済保険への変更がされた場合には、その変更時において、受け取るべき既に加入している生命保険の解約返戻金相当額を、新たな生命保険契約の一時払い保険料に充てるような取り扱いとなっているということです。
資金繰り負担は解消されても税負担は増加する場合も
過去には会社が自己を保険金受取人とする全損タイプの生命保険を、節税商品として加入される会社も多かったのではないでしょうか。
もともと払い済みへの転換のタイミングも予定されていたのであれば問題ないのですが、
当時と事情が変わって資金繰りの都合上やむなく払い済みへと変更を検討されるような場合には、
資金繰りは解消されても、一時的な税負担の増加もあるということも念頭においてご判断されることをおすすめします。
同種類の払済保険への変更の場合には益金算入されない
養老保険、終身保険、定期保険、第三分野保険および年金保険(特約が付加されていないもの。)から、同種類の払済保険に変更した場合には、
その変更した時における解約返戻金相当額と、保険積立金などの勘定科目で資産計上している金額との差額を、その変更した事業年度の益金または損金として取り扱うというような取り扱いをする必要はありません。
既に資産計上された金額を、保険事故の発生や、解約などにより契約が終了するまで引き続き資産計上しているときには、その処理が認められています。
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※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
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