未支給の年金を遺族が受領したとき

未支給の年金を遺族が受領したとき

公的年金の受給を受けている人が死亡した場合には、その受給を受けている本人が不存在となることから支給されない状態の年金が生じます。

これは年金の支給が後払いとなっていることから起こるのですが、

本来死亡した人に支給されるべきであるこの年金は「遺族年金」ではなくて、「未支給年金」と呼ばれています。

この「未支給年金」については、遺族が自己の名で支給の請求をすることができることとされています。

 

金額としては、通常は1,2か月分であることからそれほど大きな金額にはならないのですが、

今回は、遺族がこの未支給年金を受け取ったときの課税関係がどのようになるのかについて、見てみましょう。

 

 

未支給年金は遺族の一時所得

年金の給付の受給権者が死亡した場合で、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給されていない年金があるときには、

その者の配偶者(内縁の配偶者を含む。)、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹またはこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが、

自己の名でその未支給の年金の支給を請求することができることとされています。

(つまり、「同一生計親族」による「請求手続き」により、遺族は未支給年金を受け取ることができるということです。)

 

この未支給年金については、死亡した受給権者の遺族が、未支給の年金を自己の固有の権利として請求するものとなっていることから、

死亡した受給権者に係る「相続税」の課税対象にはならず、その支給を受けた遺族の「一時所得」に該当することとなります。

(つまり、相続税ではなく、「所得税(一時所得)」の課税関係が生じるということです。)

 

 

一時所得の金額の計算方法

一時所得の金額の計算方法は、次のとおりです。

<計算式>

一時所得の金額 =

一時所得の総収入金額 -(マイナス)その収入を得るために支出した金額 -(マイナス)一時所得の特別控除額(最高50万円)

 

未支給年金を受け取った場合には、通常1,2か月分の金額であることから大きな金額にはならないので

その年にほかにも一時所得となるものが生じていなければ、

通常は一時所得の特別控除額(最高50万円)の枠内に収まることと思われます。

この、一時所得の特別控除額の枠内に収まれば、一時所得については所得税は課税されることはありません。

 

しかし、ほかにも一時所得があることにより、年間の一時所得の収支が一時所得の特別控除額(最高50万円)を超えるような場合には、

その超えた部分の金額は、2分の1をしたうえで、他の所得(事業所得など)と合算して総合課税(超過累進税率)により課税されることとなっています。

 

 

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※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。