浴室をユニットバスに取り替えた場合の資本的支出

賃貸マンションの浴室をユニットバスに取り替えた場合

賃貸マンションの台所や浴室を築年数の経過とともに新たなものに取り替える工事が行われることがあります。

築15年とか20年くらいになってくると一部には設備の劣化が目立つようになってくることから、

従前の浴室を取り壊して、新たなユニットバスに取り替えることにより、賃貸マンションの空室化を防ぐこともあるかもしれません。

今回は、このようなユニットバスへの取り替え工事が、資本的支出になるのか、あるいは修繕費になるのかについて、見てみましょう。

 

 

マンションの価値を高め耐久性を増強させるものは「資本的支出」

賃貸マンション内部の浴室部分を新たなユニットバスに取り替えたからといって、マンション建物の使用可能年数が延長するようなものではない、という考え方があります。

たしかに、ユニットバスへの取り替え工事は、マンションの基礎部分や屋根といった、建物の骨格となる構成部分の取り替えを行っているわけではありません。

 

しかしながら、台所や浴室は、マンション(住宅)の中で、物理的・機能的に一体不可分のものであります。

台所や浴室がなければ基本的には住宅として成り立ちません。

このことから浴室を新たにユニットバスに取り替えるような工事は、その賃貸マンション(住宅)の価値を増加させるものであり耐久性の増強をもたらすもの考えられています。

したがって、既存の浴室を取り壊して新たにユニットバスに取り替えるような工事は、「資本的支出」に該当することとなります。

 

 

建物と一体不可分なものは「建物」

物理的・機能的に、浴室は建物と一体不可分なものであるので、新たなユニットバスの設置については、勘定科目は「建物」として取り扱うこととなります。

可分なものであれば器具備品となりますが、たとえば屋外にぽつんと置かれた五右衛門ぶろでもない限り、住宅内の浴室(ユニットバス)は建物そのものと考えます。

 

 

除却損の計上

取り壊した既存の浴室については、除却損の計上をすることになります。

除却損は、取壊しをした部分の帳簿価額(未償却残高)となります。

しかし、取壊しをした浴室部分の帳簿価額(未償却残高)はなかなか正確に計算できません。

そこで、建物の取得価額と総床面積をもとに1平方メートル当たりの建築単価を算出して、これに浴室部分の面積を乗じて、取り壊した部分の取得価額を算定し、

これをもとに除却損となる帳簿価額(未償却残高)を計算するのが、合理的な計算方法であるとされています。

(床面積按分が合理的だと判例に示されています。)

 

 

修繕費となる例

もちろん、浴室の取り替えであっても、資本的支出ではなく修繕費となるものがあります。

これは、浴室やすでに設置済みのユニットバスの一部劣化したパーツ(部品)の補修や取り替えなどが該当します。

 

 

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※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

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