固定資産税を損金の額に算入する時期

固定資産税を損金の額に算入する時期

固定資産税の納付時期は、一般的には、4月、7月、12月、2月中(地方自治体の条例によって多少異なります。)となってますが、

会社が納付する固定資産税を損金の額に算入する時期については、いつになるのかについて、見てみましょう。

 

 

賦課決定のあった事業年度

法人税の計算においては、固定資産税のような賦課決定方式の租税公課の損金算入時期は、

原則として、租税債務の確定した日、つまり、賦課決定のあった日の属する事業年度とされています。

そこで、固定資産税の納期が翌期になっていたとしても、納税通知書が届いているのであれば、

その全額を当期に未払計上して、その全額を当期の損金の額に算入することができます。

 

 

納期の開始日の事業年度

固定資産税は一括で納付(前納)せずに、4月、7月、12月、2月などのように分割して納付することもできますので、

それぞれの分割納期の開始の日の属する事業年度において損金経理した場合には、

その損金経理した事業年度に損金の額に算入することとなります。

 

 

実際に納付した事業年度

実際に納付した日の属する事業年度に損金経理により納付をした場合には、その事業年度に損金の額に算入することとなります。

 

 

固定資産の評価替えがある場合

固定資産の評価替えが行われることにより、固定資産税の納税通知書の到着が遅くなることもありますので、

その場合の取り扱いについても見てみましょう。

 

評価替えとは

固定資産税は、固定資産の価格(適正な時価)を課税標準として課税されます。

時価は変動するため、本来なら毎年一定の評価替えを行って、その適正な時価をもとに固定資産税の課税を行うことが税負担の公平に資することとなる本来の姿なのですが、

全国にある膨大な量の土地や家屋について毎年評価替えを行うことは実務的には困難であると考えられること等から、

土地や家屋については、原則的には、3年ごとに評価額を見直す制度が採用されています。

(ちなみに、令和3年度は評価替えを行う年度にあたります。)

 

4月決算の法人の場合には

たとえば、4月決算の法人については、固定資産税の納税通知書が4月中に届いたのであれば、

4月中に全額を未払計上して、その全額をその期の損金の額に算入することができます。

 

しかし、評価替えをする年度については、納税通知書が5月になってから送付されてくるようなことも考えられます。

このような場合、本来であれば、4月にはまだ租税債務が確定していないことから、

原則からすれば、その全額を未払計上するようなことはできません。

 

しかしながら、固定資産の評価替えがあったことにより、たまたま納税通知が遅くなったような場合でも、

4月中に固定資産課税台帳を縦覧することでその金額を確定したかたちで知ることができることから、

4月中に未払計上することにより、その全額をその年度の損金の額に算入することが認められると思われます。

 

これは、たまたま納税通知が遅くなったことにより、年度によって損金算入する租税公課の金額が増減してしまうのは、

会計上の継続性が保てなくなると考えられることや、

たまたま納税通知が遅くなることは会社の責任によるものではないと考えられるからです。

 

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。