土地の取得にかかる借入金の利子についての取得費の取り扱い

土地の取得にかかる借入金の利子についての取得費の取り扱い

たとえば、もともとは自宅用地にしようとして、自己資金にプラスして銀行から資金の借り入れを行って更地を購入していたものの、

その後遠方に転勤があったことなどによって、結局はその土地に家をたてずにいたとします。

そのまま数年が経過し、当初とは家庭の事情も変ったことから、その土地には家を建てずに売却することとした場合に、

譲渡所得の計算上その土地の取得費に、銀行からの借入金の利子を含めてもよいのかどうかについて、見てみましょう。

 

 

譲渡所得の取得費

譲渡所得については、土地や建物の売却金額から、取得費と譲渡費用の合計を差し引いて計算します。

そして、基本的に取得費については、売却した土地や建物の購入(建築)代金に、購入したときの手数料などをプラスして計算することとなります。

(減価償却や、概算取得費、取得費加算などについてはここでは省略しています。)

 

 

購入のための借入金の利子も取得費となる

固定資産を購入するためにした借入金の利子も取得費となります。

固定資産の取得のための借入金の利子のうち、その借入れの日からその固定資産を使用開始する日まで(その固定資産を取得してから使用しないで譲渡した場合には、その譲渡の日まで)の期間に対応する利子の金額は、その固定資産の取得費に算入することとされています。

※ただし、その固定資産が業務の用に供される資産にかかるもので、事業所得などの必要経費に算入されたものは除きます。

 

冒頭の例では、土地の購入から売却までの間の銀行からの借入金の利子については、空き地のままその土地を業務の用に供していなければ、

譲渡所得の金額の計算において、その全額を取得費に含めることとなります。

 

 

借入金の利子のほか、資金を借り入れる際の諸費用も取得費となる

借入金の利子のほか、資金を借り入れる際の諸費用も取得費となります。

自宅用地の取得のために銀行等から資金を借り入れる際に支出する、銀行の事務手数料、公正証書作成費用、不動産取得税、登録免許税や登記費用、借入れの担保として締結した保険契約に基づき支払う保険料(団体信用生命保険料)などで、

その資金を銀行等から借入れるために通常必要と認められるものについても、その固定資産の取得費に算入することとされています。

 

 

(参考)購入時から売却までの維持費は

土地を取得する際に、不動産売買の慣習により固定資産税の精算金(未経過部分の固定資産税)を支払った場合には、その固定資産税の精算金も取得費に含まれることになります。

しかし、土地を購入後その土地を所有することで毎年課税される固定資産税(維持費)については、その土地の譲渡所得の計算上取得費には含まれません。

 

これについては、譲渡所得の計算をするうえでは、あくまでも「取得費 = 取得のために要した費用」と考えれば分かりやすいかと思います。

 

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。