得意先が代金を支払ってくれなくなったときの貸倒損失
得意先が代金を支払ってくれなくなったときの貸倒損失
当社と長い付き合いがある得意先の支払能力等が悪化したことによりその得意先に対する債権の回収が滞り、取引を停止した後、入金がされないまま1年以上経過したなどの場合には、
その債権について貸倒損失を計上できる取り扱いがあります。
今回はその取扱いについて、見てみたいと思います。
取引を停止して一定期間経過した場合など
当社の得意先について、次の(1)または(2)ようなことが起こった場合には、
その得意先に対して有する売掛債権について、貸倒損失の計上が認められています。
売掛債権とは、売掛金や、未収請負金などの債権をいい、貸付金などの一定の債権は含みません。
なお、貸倒損失の計上の際には、売掛債権について備忘価額を付して、その売掛債権の額から備忘価額を差し引いた残りの金額を貸倒損失として計上することとなります。
(1)1年以上経過
債務者との取引を停止した時(※)以後1年以上経過した場合
(※)最後の入金の期日 または、最後に入金になった日が、その得意先との停止をした日以後である場合には、これらのうち最も遅い日からカウントします。
その売掛債権について担保物がある場合にはこの取り扱いは適用されません。
(2)取り立てのための旅費等よりも少ない債権が、督促しても支払われない
当社が同一地域の複数の得意先について有している売掛債権の総額が、その取立てのために要する旅費などのよりも少ない場合において、
その得意先に対し支払の督促をしたにもかかわらず支払いがされないとき
これは、回収しようとする債権よりも多い旅費を支払ってまで、わざわざ取り立てに行くことはないといったときに貸倒損失が計上できるというものです。
単発(スポット)の取引は対象外
上記の「1年以上経過」については、
継続的な取引を行っていた得意先が、その資産状況や、支払能力などが悪化したため、その後の取引を停止するにいたった場合いいます。
したがって、たまたま取引を行った相手先に対する売掛債権については、たとえ1年以上支払いがされていなくても、この貸倒損失の計上の適用はありません。
単発(スポット)の取引、非継続的な取引については、このこの取り扱いは適用されないということです。
入金すると約束してもらっている場合は?
上記の「1年以上経過」、「取り立てのための旅費等よりも少ない債権が、督促しても支払われない」に該当する場合には、
たとえその得意先から、支払がされるとの約束を得ている場合であっても、備忘価額を付して貸倒損失に計上することができます。
なお、貸倒損失として損金に算入したのちに、実際にその売掛債権の支払いがされたときには、
支払がされた金額を益金に算入(償却済債権取立益などの科目で収益に計上)することになります。
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※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。