開業のために支出した費用は、開業後に経費処理しましょう
開業費は開業後に経費として処理できます
開業を決意して開業の準備に取りかかってみると、開業するまでにいろいろな支払いが発生してしうものです。
開業のために支出した費用は、その支払い自体は終わっているものの、その支払いの効果は将来にわたって続きます。
このように支出の効果がその支出後にも続く費用で一定のものを「繰延資産」といい、その後に経費として処理することが認められています。
開業前に開業準備にために使った特別な費用は「開業費」という繰延資産となりますので、開業後に繰延資産を償却して経費とすることができるのです。
「まだ開業していないときの費用だし、、、」なんてあきらめないで、開業準備のための費用については、節税のためにも、領収書やレシートなどをきっちりと受け取って保管しておきましょう。
償却は任意
開業準備のために支出した特別な費用は、一般的には開業後の5年以内で償却して、経費として収入金額から差し引くことができます。
開業費は、事業を開始した年にその全額を経費にしてもいいし、いったんは繰延資産として資産に計上した後、開業後複数年にわたって分割して経費にしていくこともできます。
分割する金額は均等分割でもよいし強弱付けながら好きなように分割してもよく、事業主の裁量で自由に決めても構いません。
償却は任意ということです。
なお、任意償却の繰延資産である開業費は5年を経過した場合に償却費を必要経費に算入できないとする特段の規定は設けられていないので、仮に5年以内に全額償却ができずに残額があったとしても、その未償却残高はいつでも償却費として必要経費に算入することができます。
ですので、開業してしばらくの年間収入などがどの程度になるかによってうまく調整しながら経費にすることができるのです。
調整の考え方は幾つかありますが、
例えば、開業後すぐの資金繰りを重視したい場合には、売上げが順調になってきたすぐのタイミングで節税のために経費にしてもよいし、より節税効果を重視したい場合なら、儲けがかなり膨らんでから経費にすればよいでしょう。
所得税は超過累進税率といって、所得が高ければ高いほど税率が高くなりますので(所得金額に応じ5%~45%の税率)、税率が高くなってきた時に経費にすると節税効果は高くなると言えますね。
開業費にできるもの
開業費にできる支出は、開業前に開業に関して特別に生じた支出です。
例えば、
- 開業セミナーへの参加費用
- 開業場所の調査費用
- 開業に係る関係者との打ち合わせ費用
- 市場情報の入手費用
- これらにかかる旅費交通費、通信費
- パソコンなどの購入費用
- 広告宣伝費用
- 開業のための接待交際費用
など
開業のために特別に支出したものが挙げられます。
開業の準備期間は、一概には言えませんが、だいたい半年とか1年くらいの期間はあると思われます。
特にその準備期間に制限は設けられておりませんので、「まだ先のことだから、、、」といって、開業費を記録するのを忘れないようにしましょう。
開業費にできないもの
一方で、開業前に支払ったものでも開業費にできないものがあります。
次のような支出は開業費にはできません。
- 販売目的の商品や、原材料等の仕入れのための支出
- 固定資産(原則10万円以上)の取得代金
- 敷金、保証金などの支払いで後日返還されるもの
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