クレジットカードで経費を支払ったときの仕訳

原則、カード払いは発生主義で記帳しましょう

現金での経費支払いとは違って、クレジットカードでの支払いとなると、すぐに預金口座から代金の引き落としはされず、

預金口座からその代金が引き落としされるのは、取引を1か月分取りまとめたうえで、更に1か月後くらいの一定日になるのが多いのではないでしょうか。

 

では、クレジットカードで経費の支払いをした場合には、カード代金が預金口座から引き落とされるまで記帳しないで、”ほったらかし”にしていても良いのでしょうか?

 

答えは、基本的には、否です。

 

基本的には、取引が発生したら、「複式簿記」で仕訳を行いましょう。

そして、「発生主義」で記帳しましょう。

 

そうすることによって、青色申告の承認を受けている一定の個人事業者の確定申告において、青色申告特別控除で65万円の控除を受けることができるようになるからです。

 

(参考情報です↓)

個人事業者が青色申告で65万円の控除を受けるためにすべきこと

 

 

複式簿記での仕訳例

発生主義で経費を計上するときには「未払金」などの勘定科目を用います。

実際に預金口座から引き落としされたときに、「未払金」がなくなって、「普通預金」などの残高を減少させます。

 

  • 5月1日 クレジットカードで事務所の消耗品 5,400円を購入した。

 

発生主義で、消耗品費を計上します。

消耗品費 5,400 / 未払金 5,400

5月1日 消耗品費 5,400 未払金 5,400

 

 

  • 6月25日 クレジットカードの利用代金 5,400円が普通預金口座から引き落とされた。

 

「未払金」がなくなって、「普通預金」残高を減少させます。

未払金 5,400 / 普通預金 5,400

6月25日 未払金 5,400 普通預金 5,400

 

 

(参考:複式簿記での仕訳のしかた↓)

複式簿記での仕訳のしかた

 

 

 

現金主義で記帳する場合

基本的には複式簿記・発生主義で記帳するとはいっても、実は、一定の個人事業者においては「現金主義による所得計算の特例」というものが認められています。

 

この「現金主義による所得計算の特例」は、前々年分の事業所得と不動産所得の合計300万円以下青色申告である個人事業者が事前に届出を提出することにより認められています。

 

ただし、この現金主義の特例の場合には、青色申告特別控除は65万円の適用を受けられず、10万円となってしまいますのでご注意ください。

 

 

 

比較的簡単な発生主義での記帳のしかた

毎月、毎月、発生の都度「未払金」を計上して、引落しがあったときに「未払金」から「預金」に振り替えるのは仕訳の手間が二重になって管理も大変だという方もいらっしゃると思います。

そこで、比較的簡便な方法をお話しします。

 

  1. まず、月々の取引は現金主義で記帳しておきます。
  2. そして、年末だけ(翌年初の支払いも)発生主義に切り替えます。

 

つまり、年末、例えば12月は、現金主義での経費計上仕訳と、12月の発生主義での経費計上仕訳の両方が記帳されます。

こうすると、1年区切りで見た1年間全体の取引を通じては、きっちりと発生主義で記帳されているようになります。

(もちろん、カード決済のタイミングにより本当に1か月分でいいのか確認しなければならないという手間が新たに発生するのですが。)

 

 

月々の損益のトレースには向いていないなど、不利な面もあるのですが、

この方法で記帳すれば、「損益計算書」も「貸借対照表」も正規の簿記の原則(複式簿記・発生主義)で作成されたものに仕上げることができます。

参考までにしていただければと思います。

 

最後に、カード利用をしたときに発行される領収書やカード利用明細は必ず保管しておいてくださいね。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

 

 

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したものです。法改正等があった場合には記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については作成者の見解ですので、実際の適用時には個別具体的な内容をお近くの専門家にご相談くださいますようお願い申し上げます。