個人事業者で消費税の申告をしなければならない人と、しなくてもよい人
消費税は申告納税方式が適用される税金
消費税も所得税と同じように、申告納税方式といって、自らが計算して確定申告・納付をしなければならない税金です。
しかし、一定の条件に該当する人は消費税の納税義務がありません。
納税義務が免除されているのです。
確定申告しなくていいし、お客様から預かった消費税を国に納める必要もありません。
では、いったいどのような個人事業者は納税義務が免除されるのでしょうか。
逆に、どのような人だと消費税の申告をしなければならないのでしょうか。
(ここでは法人ではなく、個人事業者についてお話しします。)
消費税の納税義務が免除される条件は二つ
次の①と②のいずれにも該当する個人事業者については、消費税の納税義務は免除されます。
しかし、どちらかでも該当しなければ、消費税の納税義務は免除されません。
①前々年の課税売上高が1,000万円以下の人
「2年前の課税売上高が1,000万円以下の人に該当するかどうか」
(1,000万円を超えれば納税義務は免除されません。)
②前年1月1日~6月30日までの課税売上高(又は給与等支払額)が1,000万円以下の人
「昨年の1月から6月までの半年間の課税売上高が1,000万円以下の個人事業者に該当するかどうか」
又は
「昨年の1月から6月までの半年間の従業員への給与支払額が1,000万円以下の個人事業者に該当するかどうか」
「又は」なので、どちらか一方に「該当」なら、「該当」となります。
(両方が1,000万円を超えれば、納税義務は免除されません。)
①と②のいずれにも該当する個人事業者については、その年の消費税の納税義務は免除されます。
この判定を、毎年、毎年、繰り返し行うことが必要です。
(納税義務は免除されても、例えばお店で買い物するときには消費税はお支払いしてくださいね。納税義務の免除とは、あくまでも、申告・納付の義務がないということです。)
背景
余談ですが、上記①と②から言えることは、
いわゆる”小規模”の事業者については、煩雑な計算をする手間も免除します、ということです。
消費税はもともと、「売上げたときにお客様から預かった消費税(預かり消費税)」から、「仕入れたときに渡しておいた消費税(支払い消費税)」を差し引いた「差額」を国に納めるものですから、国から見たら、小規模の事業者の納税義務を免除しても、全体で見ればそれほど税収に影響がないということでしょう。
そしてそれを税務署側の手間の問題とも天秤にかけたうえで、「まあいいか(免除するか)」となったのでしょう。
開業した年は免税
新規に開業した個人事業者は、その開業した年は免税事業者になり、消費税の申告・納付をしなくてもよいことになっています。
上記①の2年前の課税売上高もなく、②の前年半年間もないので、免税となっているのです。
2年目以降は、上記の条件に該当するかどうか毎年要注意ということです。
開業してすぐに多額の支出があるときなどは、課税事業者を選択
免税事業者に判定されると、消費税の申告・納付の義務がないので、たいていの場合には”お得感”があると言えます。
しかし、免税事業者に判定されたにもかかわらず、あえてその免税事業者を返上して「課税事業者」を選んだ方がよいケースもあります。
例えば、
輸出で海外への免税売り上げが主体となるときや、
初期の商品の仕入れなどで多額の課税仕入れが先行して発生し、
「預かった消費税」よりも「支払った消費税」の方が多くなるときです。
免税事業者となると、申告・納付の義務はありませんが、申告・還付を受ける権利もありません。
「預かった消費税」よりも「支払った消費税」の方が多くなり、差額の還付を受けたいと考える場合には、一定の届出書を提出して「課税事業者」となる選択も視野に入れておいた方が良いでしょう。
この課税事業者の選択は毎年コロコロと変更することはできません。原則的には、2年間継続しなければいけませんので、よく試算してから判断するようにしてください。
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