1ヶ月ごと、または3ヶ月ごとに課税期間を短縮することができる消費税の課税期間の特例制度
消費税の課税期間の特例制度とは
消費税額を計算する計算期間を「課税期間」といいます。
通常は、個人事業者については「暦年」(1月~12月)が課税期間となっており、法人については「事業年度」が課税期間となっています。
しかし、何らかの理由により課税期間を3ヶ月または1ヶ月ごとに区分したい場合には、「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出することによって、課税期間を短縮することができるのです。
そして、この特例を選択した事業者については、その適用後は短縮された課税期間ごとに消費税の申告、納付をすることとなります。
この制度はどのような事業者にとって便利なのか
事務が煩雑になる制度である「課税期間の特例制度」をわざわざ適用するにはそれなりの理由があります。
どういった事業者にとって有利な制度なのか、例を見てみましょう。
還付を早く受けたい事業者
例えば、輸出貿易業を営んでいる事業者については、一般的には消費税の還付を受けることが多いと考えられますが、1年に1回の確定申告の時期まで待たなくても還付の申告ができるようになれば、資金繰りにも余裕が出てきたりします。
このように、還付のポジションにいる事業者にとっては、この「課税期間の特例制度」は便利な制度と言えるでしょう。
届出書の提出を失念した事業者
消費税は届出関係の書類が多い税金です。
例えば、簡易課税の適用を受けたかったにもかかわらず、「消費税簡易課税制度選択届出書」を通常の提出期限であるその適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに提出できなかった事業者などに対して便利な制度です。
この「課税期間の特例制度」を適用することにより、次の提出期限である約1年後を待たずして届出書を提出できるようになったりします。
1ヶ月ごと、または3ヶ月ごとの単位で短縮
個人事業者については「暦年」、法人については「事業年度」が課税期間となっていますが、その課税期間を1ヶ月または3ヶ月ごとに区分した期間に短縮することができます。
ただし、短縮した結果生じる”端数”となる期間は1ヶ月または3ヶ月とならない場合もあります。
課税期間の特例の適用を受けようとするときの手続き
適用を受けようとする期間の初日の前日までに「消費税課税期間特例選択・変更届出書」を提出します。
課税期間の特例の適用をやめようとするときの手続き
課税期間の特例の適用をやめようとするときには「消費税課税期間特例選択不適用届出書」を提出しなければなりません。
ただし、事業を廃止した場合を除き、2年間の継続適用を受けなければ、特例の適用をやめることはできません。
特例の期間を変更することも可能
課税期間を3ヶ月または1ヶ月ごとに区分した期間に短縮することができる制度ですが、さらに、いったん選択したその短縮期間を「1ヶ月短縮から3ヶ月短縮」に、または「3ヶ月短縮から1ヶ月短縮」に変更することも可能となっています。
この場合には、「消費税課税期間特例 選択・変更届出書」を提出しなければなりませんが、これについても2年間の継続適用を受けてからでなければ変更することができないこととなっています。
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