売上金額や売上原価の額が確定していない場合の見積もり計上

売上の見積もり計上

事業を営む者が商品などの販売により棚卸資産を取引の相手方に引き渡した場合において、その引き渡しの日の属する年の12月31日までに(法人の場合には事業年度末までに)その販売金額が確定していないときには、その日の現況により適正に見積もった金額を売上に計上することになります。

個人事業者が対象となる所得税でも、法人が対象となる法人税でも同じような考え方となっています。

なお、販売代金が後日確定して、確定額が適正に見積もった金額と異なることとなったときには、その差額については、その確定した日の属する年(法人の場合には事業年度)の収益または費用の額にすることとなっています。

 

これは棚卸資産の販売ばかりではなく役務の提供なども含めて、売上が実現したものは金額が未確定であったとしても適正な見積もり計上が必要となる共通した取り扱いです。

 

売上原価の見積もり計上

売上原価は「費用収益対応の原則」により、ある会計期間の売上げに直接的に対応させるべき費用であるので、債務確定は要件になっていません。

つまり、ある会計期間終了の時までに売上げが計上されているのであれば、その売上げにかかる売上原価の額が確定していなくても、適正に見積もった金額で計上することとなり、税務上においても認められています。

なお、売上高の見積もり計上と同様に、後日売上原価の額が確定して、確定額が適正に見積もり計上した金額と異なることととなったときには、その差額については、その確定した日の属する年(法人の場合は事業年度)の収益または費用にすることとなっています。

 

 

販管費などの期間費用や、事後的に発生する費用はどう扱うのか

売上原価のように売上げと直接的に対応する費用については上記のように個別対応で見積もり計上を行いますが、販売費や一般管理費のように期間対応するような費用については、債務未確定のものは計上せず、債務の確定したもののみを計上すべきとされています。

ですので、見積もり計上する費用が本当に売上原価に該当するのかどうかは、事業の内容や契約の内容、その費用の性質などからきちんと判断しなければなりません。

それと、たとえ売上に関して発生する費用であったとしても、事後的に発生するような費用については、売上原価として見積もり計上はすべきではありませんのでご注意ください。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。