個人事業者が店舗に損害を受けた場合の損害保険金の取り扱い
個人事業者が店舗に損害を受けた場合の損害保険金の取り扱い
個人事業者が事業を営む店舗に損害があった場合において、損害保険金を受け取ったときにはどのような処理をすればよいのでしょうか。
例えば、店舗に車が衝突してきたとか、上の階から水漏れが発生したとかの場合です。
損失のほうが保険金よりも大きい場合
個人事業者の営む不動産所得、事業所得または山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産などについて滅失や損壊など一定の事由が生じたことにより生じた損失の金額は、これらの所得の金額の計算上、必要経費に算入することとなります。
しかし、必要経費に算入する金額は、保険金とか損害賠償金などで補填される金額を除いた金額となります。
(例)
固定資産の損失額 100
保険金の受取り額 70
であったとすると、
100-70 = 30
この金額が必要経費に算入される金額となります。
損失よりも多くの保険金がある場合(保険差益の場合)
店舗に車が衝突した場合や、上の階から水漏れが発生した場合のように、突発的な事故により資産に加えられた損害の賠償をうける形で取得する保険金などは、非課税とされています。
つまり、所得税は課されません。
(例)
固定資産の損失額 70
保険金の受取り額 100
であったとすると、
70-100 = -30 … 差益
この場合には非課税となります。
課税される場合もあり
店舗の修理期間中の売り上げ減少を補填する意味合いの保険金等である場合や、店舗内の商品の損害を補填するものである場合には、非課税とはなりません。
また、必要経費に算入した店舗の修理費用を補填するための保険金等についても、非課税とはなりません。
つまり、店舗に損害を受けたと一口に言っても、売上や経費の補償については、課税ということになります。
まとめ
損失額>保険金
必要経費(損失額から保険金を引いた金額)
損失額<保険金
非課税(損失額は必要経費算入しない)
売上の補償は課税
経費算入した修理金額の補填部分は課税
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※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。
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