個人事業者が医薬品を購入した場合の費用の取り扱い(医療費控除か必要経費か)
医療費控除の対象
個人事業者が支出した費用であっても、自己または自己と生計を一にする配偶者や親族のために支払った医薬品の購入費用は、その個人事業者の事業にかかる必要経費にはならず、所得控除である医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象となる医薬品は、治療または療養に必要な医薬品となりますので、たとえば風邪をひいた場合の風邪薬などの購入代金や、けがをした場合の治療薬の購入代金が該当します。
なお、医療費控除については治療または療養のための医薬品が対象になるので、ビタミン剤などのように病気を予防するためのものや健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医療費控除の対象にはなりません。
個人事業者の必要経費に算入できる医薬品等
上記のように、個人事業者が支出した費用であっても、治療または療養に必要な医薬品の購入については、基本的には、その個人事業者の事業にかかる必要経費ではなく医療費控除の対象とする考え方になります。
一方で、
一口に”医薬品”といっても、
その医薬品の購入が個人事業者の事業に関する福利厚生的な意味合いがあり、医薬品をその事業を行う事務所や作業現場などに設置するなどして事業に関するものであることが説明できるのでれば、
その医薬品の購入費用については、医療費控除(家事費)の対象ではなく、その個人事業者の必要経費に算入すると考えます。
具体例として、
- 厨房などに常備している消毒液、絆創膏
- 事務所に常備している従業員用のかぜ薬
- 作業現場に設置している従業員用の傷薬や包帯
などが挙げられます。
上記の例のようなものについては、事業の遂行上必要な医薬品になりますので、福利厚生費や雑費などの勘定科目を用いて、個人事業者の事業にかかる必要経費に算入するものと考えます。
個々の判断が必要になりますが、個人事業者の生活費(家事費)ではなく、事業上の必要経費としての説明が付くかどうかで必要経費の判断すればよいでしょう。
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