非課税とされる出張旅費や日当、グリーン車は「通常必要と認められる範囲内のもの」か

非課税とされる出張旅費や日当は、通常必要と認められる範囲内のものに限る

社員に支給する出張旅費や日当の支給の仕方は、

①いったん全額を社員立替として後日実費精算する場合や、

②通常必要とされる金額をあらかじめ出張旅費規程などで定めておき、

その規定に従って、基本的には前もって支給する場合があります。

いずれの場合についても、その支給される出張旅費や日当が「通常必要と認められる範囲内のもの」でなければなりません。

「通常必要と認められる範囲」を超える出張旅費や日当については、税務調査の際などで問題となり、支給を受けた本人に対する報酬や給与として所得税が課税されることも考えられます。

 

「出張旅費規程」を整備しましょう

出張旅費が旅費交通費などとして費用計上が認められ、

支給された本人にも所得税がかからない非課税のものとして認められるには、

「出張旅費規程」の作成が、税務対応的にも、社内統制的にも重要となってきます。

「出張旅費規定」がなければ直ちに否認されるわけではありませんが、

「出張旅費規定」は整備するようにしましょう。

 

そして、出張旅費規程を作成する際には、

  • 移動距離(行先)
  • 交通手段
  • 所要時間(出発時間・帰着時間)
  • 宿泊の有無
  • 出張者の地位、役職

などによって、

出張日当、宿泊日当などをあらかじめ定めておくこととなります。

 

新幹線のグリーン車の利用について

社長や役員クラスであれば、新幹線のグリーン車の利用もよくあることと思います。

一般社員や、係長、課長クラスまでなら、新幹線のグリーン車料金を支給するのは「通常必要と認められる」かどうか微妙であり、税務調査の際に問題になることも考えられますが、社長や役員クラスになると逆に新幹線のグリーン車を利用することの方が一般的であると考えられます。

 

お客様とお会いする大切な場に、クタクタになった会社の重役が訪ねてきてもおかしな話です。

新幹線のグリーン車は座席の幅が広く、ひじ掛けも隣の人と取り合いになったりとか、遠慮しあったりすることはまずありません。

ざわつきのない静かな環境で長距離の移動が可能です。

 

  • 移動中にも会社の戦略・戦術を練る
  • あるいは逆にリラックスした状態で移動をおこない到着後の仕事場で力を発揮する
  • ふと閃いたアイデアをパソコンやノートにまとめる
  • SNSで大切な情報を発信する
  • 経済紙、業界紙などに目を通して情報収集し、考えをまとめる

など

休んでいる最中も、寝ている最中も重役は仕事がうまくいくように自らを調整しているものです。

 

ですので、社長や役員クラス(あるいは大手企業の上級管理職など)に対する新幹線のグリーン車利用料金の支給については、問題視されないと考えてよいでしょう。

 

日当は「普通」はどのくらいの金額か

「普通」はどれくらいか...

これについては詳細な法律は定められておりません。

ですので、ここからはこれまで見聞きした範囲で「標準的」と思われる、「私見」となります。

 

実際には、業界、会社の規模、移動距離や所要時間によってまちまちで幅がありますが、

日当は、日帰りの場合、

一般職や管理職で1,000円から3,000円、上級管理職、重役クラスでも1,500円から5,000円くらいまで、社長であっても1万円には届かないくらいでしょう。

 

また、

宿泊代は、定額支給の場合、

たとえば都内や関西圏、中部圏などの都会であれば、ホテルの宿泊代金が1泊1万円ではおさまらないような時期もありますので、

そういったことを考慮して、普通は8,000円とか9,000円くらい、都会でも1万数千円くらいでおさまるでしょう。

ただし、社長や役員クラスのように役職が上がれば、部屋のグレードが上がることも十分考えられます。

 

定額支給であれば、支給された本人にとっては安く済ますことによって非課税の収入が得られるわけですが、回数が重なれば結構な金額になりますね。それだけに、いい加減に見積もらないように注意が必要ということになります。

 

まとめ

会社から支給される出張旅費や日当が旅費交通費などとして費用計上が認められ、かつ支給された本人にも所得税がかからない非課税のものとして認められるようにするために、次の点に着目しましょう。

  • 「出張旅費規程」の整備をしておく
  • 出張旅費や日当の支給額は、移動距離や出張者の役職などに従ってバランスのとれた基準とする
  • 会社の規模や世間一般に照らして「通常必要と認められる範囲」を超えない、相当額とする

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。