年末が近づいてきた時期でも間に合う節税策(小規模企業共済)
年末ごろになって所得税の節税は間に合うのか
所得税は1月1日から12月31日までの所得に対して課税される暦年課税の税金です。
そして、個人事業者であれば、1年分の「確定申告」を自らしなければならない。。。
秋から冬に差し掛かろうとする時期になると、そろそろ確定申告のことが胸をよぎるのではないでしょうか。
年間を通じて、毎月の事業の利益を把握できていれば良いのですが、なかなか、それが出来ない方もいらっしゃるかもしれません。
毎月とは言わず、少なくとも四半期ごとに把握できていればまだ良いかも知れませんが、いざ年末ごろになって慌てて確認を始めて、来年の確定申告により納付する所得税等の節税を試みようとしても、そうそうできるものではありません。
ですが、年末ごろでもまだ間に合う節税方法が幾つかあります。
今回は、その中から「小規模企業共済」についてお伝えしたいと思います。
小規模企業共済
「小規模企業共済」とは、小規模法人の経営者や役員、または個人事業主のために設けられている、積み立てによる退職金制度です。
毎月、掛金を積み立てて運用しておき、引退時や廃業時等に退職金として受け取る仕組みになっています。
国の機関である独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しており、年間でおよそ1%程度の利回りを前提としています。投資・運用というものではなく、手堅く資金を蓄えるといった向きがあり、基本的には退職年齢と想定される65歳以上になってから引き出すものとされています。
そして、節税という意味では、この「小規模企業共済」は、「掛金の全額を所得控除」できるので、非常に高い節税効果があるといえるのです。
月々の積立額
月々の積み立て額(掛金)は、1,000円~70,000円となっており、年間で最大840,000円まで積み立てることが可能となっています。
年末ごろでも間に合う!
小規模企業共済は、前納することができます。
そして、1年分以内の前納掛金は、その全額が所得控除の対象となるので、年末ごろになって慌てて1年分を前納掛金として支払っても間に合うのです。
手続き開始が11月以降なら、口座振替手続きは間に合いませんが、現金納付にすればまだ間に合います。
低金利の貸付制度を利用できる
契約者に対して、掛金の範囲内で事業資金の貸付制度を利用することが可能となっています。
低金利で、即日貸付けも可能となっています。
とにかく節税メリットが大きい
支払った掛金の全額が所得控除されるので、
仮に、年間掛金が840,000円であった場合の節税額は、所得税の税率が10%の人であれば、840,000×10%で、84,000円にもなります。
(所得税の税率は課税所得の金額によって差が生じます。また、復興特別所得税は省略しています。)
また、住民税についても節税になります。
住民税の税率は、原則一律10%ですので、同じように計算して、こちらも84,000円の節税効果が得られます。
デメリットはないのか?
資金負担が必要
当然といえば当然なのですが、掛金を支払うときには、資金負担が必要となります。
事業の運転資金、設備資金、納税資金のほか、個人の生活費などの資金繰りも行ったうえで掛金を決めることとなります。
出口で課税される
これをデメリットのところに書くのか、あるいはメリットのところに書くのがよいのか、色々と考え方があると思いますが、
入口である掛金支払い時に全額が所得税額控除されるというメリットがあるものは、逆に通常出口である共済金の受取り時には課税となります。
とはいっても、退職金や公的年金といった税制上優遇された、メリットのある課税方法となっています。
元本割れの場合がある
解散や廃業をした場合のほか、65歳以上で180ヶ月以上掛金を払い込んだ場合など、一定の場合には元本割れしないとされていますが、
任意解約をした場合には、20年以上の掛金の積立期間がないと元本割れすると言われています。
まとめ
- 小規模企業共済は、掛金の全額が所得控除となりメリットの大きい節税策といえる。
- 年末近くになっても間に合う節税策といえる。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。
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