年明けに支払う給与は年末調整の対象か、年末調整の対象となる給与等の「支払いの確定した日」とは

年明けに支払う給与の年末調整

給与の支給対象期間が、たとえば毎月1日から月末までである場合においては、その翌月の10日とか20日に実際に従業員に対して給与が支給されることが多いのではないでしょうか。

勤務実績や残業実績を確定させたうえで支給するような場合に多くあると思われます。

このようなケースのときに年末調整をするにあたって迷いが生じがちなのは、12月分の給与で翌年1月に支給するものも含めて年末調整の対象にするのかどうかでしょう。

これについて見ていきたいと思います。

 

年末調整は本年中に「支払いの確定」した給与等が対象

年末調整は本年中に支払いの「確定」した給与等の総額を対象として行います。

従業員の側から見れば、本年中に収入の「確定」した給与等の総額が対象となります。

この場合の「支払いの確定した日」というのは、次のとおりとなっています。

 

契約または給与規定などにより支給日が定められている場合の「支払いの確定した日」

契約または給与規定、慣習などにより支給日が定められている給与等(下記の利益連動型役員報酬を除く。)についてはその支給日とし、支給日が定められていないものについては実際の支給日を「支払いの確定した日」とします。

 

つまり、たとえば給与規定により本年12月分の給与の支給が翌年の1月10日となっているのであれば、翌年の1月10日が「支払いの確定した日」となるので、本年の勤務実績や残業実績に基づくものであったとしても、本年の年末調整の対象には含めないこととなります。

 

以上が結論です。

以下はあまり生じないケースと思われますが、参考までに記載しておきます。

 

利益連動型の役員報酬である場合の「支払いの確定した日」

個人事業の場合や、同族会社が多い中小企業の場合には関係のない役員報酬制度になるのですが、

利益連動型の役員報酬制度を導入している企業においては、役員に対する賞与のうち、株主総会の決議などにより役員報酬の算定の基礎となる利益に関する指標の数値が確定して支給金額が定められるものや、その他利益を基礎として役員報酬額が定められるものについては、その決議などがあった日が「支払いの確定した日」となります。

ただし、その決議等が支給する報酬金額の総額だけを定めるだけであり、役員個人ごとの具体的な支給金額を定めていない場合には、役員個人ごとの支給金額が具体的に定められた日が「支払いの確定した日」となります。

 

新旧給与の差額に相当する給与等である場合の「支払いの確定した日」

ある事情が生じたことなどにより、過去の期間の労働時間に基づく本来の残業手当と実際に支払った残業手当との差額などを一括して支払った場合や、

給与規定の改訂が過去にさかのぼって実施されたことなどにより、そのさかのぼった期間に対応して支払われる新旧給与の差額に相当する給与等である場合には、

その支給日が定められているものについてはその支給日となり、その支給日が定められていないものについては給与規定の改訂の効力が生じた日が「支払いの確定した日」となります。

 

 

いわゆる認定賞与とされるものである場合の「支払いの確定した日」

認定賞与とは、確定した決算のうえでは賞与として処理していないものであっても、税務調査の指摘などによって実質的には賞与であるとして課税されるものをいいます。

たとえば、会社のお金で社長のプライベートの支出を経費として処理したけど、結果的にそれが認められなかったというケースが想定されます。

このような認定賞与である場合には、支給日があらかじめ定められているものについてはその支給日、その支給日が定められていないものについては実際にその支給を受けた日、その支給日が明らかでないものについてはその支給が行われたと認められる事業年度の終了の日が「支払いの確定した日」となります。

 

 

まとめ

契約、給与規定、慣習などで、本年12月分を、翌年1月に支給するとしている給与等は、本年の年末調整の対象に含めない。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。