広告宣伝用のCMやフィルムなどの映像の製作費を支払う際に、芸能人に対する源泉徴収はどうすべきか
広告宣伝用のCMやフィルムなどの映像の製作費を支払う際の源泉徴収
映像を用いた広告宣伝においては、最近ではテレビだけではなく、YouTubeなどで広告宣伝することも一般的になっています。
また、フロントにウェルカムボードなどを設置して、お越しくださったお客様のちょっとした待ち時間にご覧いただくための広告宣伝用の映像の製作を外部の事業者に依頼しているところもあることでしょう。
そして、広告宣伝用の映像を製作する際には、その効果を重視して、芸能人などの有名人を起用することもしばしばあると思われます。
このように、広告宣伝用のテレビコマーシャル(CM)やフィルム、YouTube映像、ウェルカムボード映像などの広告宣伝用の映像を製作する事業者に対して製作費を支払う際に、所得税の源泉徴収はどのように考えなければならないかについて、見てみましょう。
広告宣伝用の映像を製作する「事業者に対して製作費を支払う際には源泉徴収は必要ない」
結論としては、広告宣伝用のCM映像や、YouTube映像、ウェルカムボード映像などの広告宣伝用の映像を製作する事業者に対して製作費を支払う際には源泉徴収は必要ありません。
広告宣伝用のCM映像や、YouTube映像、ウェルカムボード映像などの広告宣伝用の映像を製作の対価として支払う対価の構成要素として、「芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金(※)」が含まれていたとしても、その対価についてはその報酬・料金には該当しないからです。
(※)「芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金」
映画や演劇の俳優、映画監督や舞台監督(プロジューサーを含みます。)、演出家、放送演技者、音楽指揮者、楽士、舞踊家、講談師、落語家、浪曲師、漫談家、漫才家、腹話術師、歌手、奇術師、曲芸師又は物まね師の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金 をいい、雑誌、カレンダー等にその容姿を掲載させるなどのために芸能人を供給したりすることにより支払われる一定の対価も含まれます。(国税庁)
広告宣伝用の映像を製作する事業者が源泉徴収を行う
広告宣伝用の映像を製作する場合において、「芸能人の役務の提供を内容とする事業を行う者のその役務提供に関する報酬・料金」が発生するときには、
その映像を製作する事業者が芸能人等に対して報酬を支払う際に所得税の源泉徴収がされることとなります。
その映像を製作する事業者に発注した者には所得税の源泉徴収義務はありません。
発注者に源泉徴収義務が発生する場合
発注者と特定の芸能人との間に直接出演契約が結ばれている場合や、
広告宣伝業者との間に特定の芸能人に出演してもらうためのあっせん契約が結ばれている場合には、
発注者がその特定の芸能人に支払う報酬については、その支払いの際に所得税を源泉徴収しなければならないこととなります。
まとめ
- 広告宣伝用の映像を製作する事業者に対して製作費を支払う際には、発注者は源泉徴収する必要はない。
- 広告宣伝用の映像を製作する事業者側から、出演する芸能人等に対して報酬が支払われる際に、源泉徴収が行われる。
- 発注者と特定の芸能人との間に直接出演契約が結ばれているなどの場合には、発注者が源泉徴収を行う。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。
記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。