会社が役員や使用人に金銭を貸し付けたときの利息と、役員が会社に金銭を貸し付けたときの利息の取り扱い

「会社が役員や使用人に」お金を貸し付けたときの利息はどのようにすべきか

会社が役員や使用人にお金を貸したときの利息をもらうかどうかですが、基本的には会社は利息を受け取ることとなっています。

特に中小のオーナー企業については、会社のお金と個人のお金の混同が見られる場合もあり、会社の信用力で借り入れた資金を会社の役員に付け替えたりすると、対金融機関との信頼関係や審査面での問題のほかに、税金面では役員に対する経済的利益の供与の問題が生じることがあります。

それでは、会社が役員や使用人にお金を貸し付けたときの利息はどのようにすべきかを、見てみましょう。

 

会社が役員や使用人にお金を貸しつけたときの利息

役員や使用人にお金を貸し付けた場合、基本的には会社は利息を受け取ることとなっており、その受け取るべき利息は税務上次に掲げる利率となっています。

1.会社が銀行などの外部から借り入れたお金を貸し付けた場合

その借入金の利率

 

2.その他の場合(元々会社が保有する資金など)

令和元年中に貸付けを行ったものであれば、1.6%

 

会社が役員や従業員から利息を受け取らなかったときの給与課税

会社が役員や使用人に対して、無利息または上記に満たないような低い利息でお金を貸し付けた場合には、原則として、上記の利率により計算した利息の額と実際に支払う利息の額との差額が、給与として課税されることとなっています。

 

給与課税されない無利息貸付など

会社が役員や使用人に対して、無利息または低い利息で金銭を貸し付けた場合であっても、次のいずれかに該当する場合には、給与として課税しなくてもよい取り扱いがあります。

  • 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員又は使用人に、その資金に充てるため、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
  • 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定めて、その利率によって役員や使用人に対して金銭を貸し付ける場合
  • 会社が受け取るべき利息の額と実際の利息の額との差額が年間5,000円以下である場合(少額不追及)

 

 

「役員が会社に」お金を貸し付けたときの利息はどのようにすべきか

役員が会社にお金を貸したときの利息をもらうかどうかですが、たいていの場合、会社は業績面や資金面で困っているときに役員からお金を借りることが多いと思われます。

このような場合に、会社が役員に対して支払う利息はどのようにすべきかを、見てみましょう。

 

役員への利息の支払いは必ずしも必要ではない

借りた会社側の影響

役員が会社にお金を貸したときには必ずしも利息を受け取る必要はございません。

仮に、税務上これが無利息貸付であると認定されても、会社側では債務免除益の益金が計上され、同額の支払利息の損金が計上されます。

プラスマイナスゼロとなって会社側には税金面での影響は生じないと考えられます。

 

貸した役員側の影響

一方の役員側ですが、役員個人が事業として貸金業を営んでいることは一般的には考えられません。

また、役員が会社に貸し付けたお金は、実質的には役員からの出資のような性格のお金として取り扱われるので、金融機関の審査面でも影響は生じないと考えられています。

仮に、会社から役員が利息を受け取ると役員個人の雑所得として計上されますが、その金額は会社では損金に計上されるので、(金額の多寡にもよりますが、)どのようにすれば双方の税金計算上有利になるかを考えてから、会社に対する貸し付け条件を設定してもよいと思います。

 

 

まとめ

会社から役員や使用人にお金を貸す場合
  • 利息の計上が必要
  • 金融機関の審査面で影響あり(役員への付け替え)

 

役員が会社にお金を貸す場合
  • 利息の計上が不要
  • 金融機関の審査面で影響なし(出資と同じ性格)

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士にご相談くださいますようお願い申し上げます。