海外視察に参加するための出張旅費が会社から支給された場合の損金算入の考え方

会社の社員に支給した海外の技術や市場を視察するための出張旅費

海外の技術や市場を視察するための海外出張旅費については、基本的には旅費交通費として費用に計上することができます。

 

しかし、その海外出張期間中の一部を観光の日として過ごした場合には、その社員に対する現物給与となります。

その社員が会社の役員である場合には、定期同額給与とならないため、役員賞与として損金不算入の扱いとなります。

そして、これらのような場合には、その社員に所得税の源泉徴収がされることとなりますので、ご注意ください。

 

海外出張旅費を損金算入する際に気を付けておくこと

社員の海外出張旅費を損金算入するにあたっては、次に掲げる事項を具体的に説明する書類その他参考となる資料に基づいて、その会社の社員が海外の視察等をする動機など、業務に関連した海外出張であることを検討しておく必要があります。

  • 海外視察が団体旅行である場合の主催者、その視察の名称、目的、日程、参加費用など
  • 参加者の氏名、役職など

 

損金算入額の原則的な計算方法

海外出張については、課税上弊害のない限り、その出張のために通常要する費用の額に、旅行日程を業務と観光等に区分したことによる業務従事割合(損金算入割合)に基づいて計算した金額を損金の額に算入することとなります。

 

大部分が業務、または大部分が観光等の場合

上記の原則的な計算方法に代えて、次のような計算も認められます。

その海外出張にかかる損金等算入割合が90%以上となる場合

その出張に通常要する費用の額の全額を出張旅費として損金の額に算入する

 

その海外出張にかかる損金等算入割合が10%以下となる場合

その出張に通常要する費用の額の全額を出張旅費として損金の額に算入しない

 

なお、上記の損金等算入割合は、業務従事割合を10%単位で区分したものとし、その区分にあたり業務従事割合の10%未満の端数については四捨五入します。

 

現物給与と認められる部分の損金算入

海外視察の参加者である使用人に対する海外出張旅費のうち、給与と認められる部分は、給与として損金の額に算入します。

役員賞与と認められる部分については、損金の額に算入されません。

 

ひとりごと

海外視察については、出発はバラバラでも、各地から集まった関係者が現地で合流して一定期間行動を共にするケースもあるのですが、関係者との合流後の行動では事業に関する視察のみで構成されていても、合流前の期間とか、解散後の期間は行動が共にはされないことがあります。

このような場合に、せっかくだからと観光旅行を兼ねることも考えられます。

海外出張の日程の一部を観光に充てるのは(会社規定により制約があるかもしれませんが)自由にすればいいのですが、

海外視察のための団体旅行の日程のみで損金算入額の判断を行うと損金不算入部分も損金に算入することになってしまいますので、海外視察にかかる全ての期間において検討しておくことが大切と思われます。

海外出張報告書の整備や、規定の整備をしておくことも大切でしょう。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

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