会社が福利厚生施設を購入したときや、福利厚生施設の会員になったときの税務上の注意点
会社が福利厚生施設を購入したときや、福利厚生施設の会員になったときの注意点
日常の社員の労をねぎらうために、会社が福利厚生施設を購入したり、保養所等の施設の会員になったりすることがあります。
保養所やリゾート施設への投資はバブルの頃が全盛期でありましたが、その後の急激な相場の下落や施設の倒産により、福利厚生施設への投資について真っ先に損切りした会社も多いと思います。
とはいっても、近頃では従業員の働き甲斐を考慮して、その方針に一部見直しを入れる会社もあるのではないでしょうか。
今回は、リゾート施設や保養所等の福利厚生施設を購入した際の税務上の注意点について、見てみましょう。
入会金の資産計上
リゾート施設や保養所等のレジャークラブに入会した際の入会金については、原則資産計上をします。
そして、資産計上した入会金は、基本的には償却することができません。
もしも、そのレジャークラブに会員としての有効期間の定めがあり、かつ、入会金の返還についてあらかじめ何も約束されていないような場合には、その有効期間にて入会金を償却をすることとなります。
役員やその親族のみが使用する場合に注意
日頃の従業員の労をねぎらうための名目で購入等した福利厚生施設であっても、実際に蓋を開けてみると、その利用のほとんどを会社の社長やその親族で利用している場合はどうでしょうか。
ゴールデンウィークや夏休みに従業員が利用しようとしても、すでに社長やその親族によりその期間の利用がおさえられていたら、実質的にはその施設は社長が会社のお金で購入したものと判断されても仕方ないですよね。
従業員のための福利厚生施設とは名ばかりのものになってしまいます。
このような場合には、福利厚生施設の維持費用や年会費などは社長への役員賞与とされます。
社長個人に対しては所得税の源泉徴収の対象となりますし、会社側もその役員賞与部分を損金に計上することはできません。
特定の社員しか利用できない常況の場合
社長やその親族ではなくても、特定の社員しか利用できない常況であるなら、その社員への現物給与として取り扱い、同じく所得税の源泉徴収の対象となります。
お客様の接待用に使用している場合
お客様を接待する目的で施設を使用している場合には、交際費として取り扱うこととなります。
交際費については、事業の遂行上必要な費用として取り扱うこととなりますが、会社の資本金の額に応じて、一定の損金算入限度額が設けられています。
会社の福利厚生費として計上するときのポイント
会社で福利厚生施設を購入したときや、福利厚生施設の会員になったときに、その維持費用や年会費を福利厚生費として損金に計上する場合には、
社長やその親族、あるいは特定の社員、得意先のみといった使用用途にはせずに、
全従業員が等しく利用できるようにしておかなければなりません。
- 全従業員を対象とした福利厚生施設の利用に関する社内規定の整備
- 利用管理を行う台帳等の整備
- 全従業員への周知
などをして、
後々になってもその利用状況からみて福利厚生費に該当するということが、
客観的に把握できるようにしておくことが大切です。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。
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