年会費を支払ったときの勘定科目と消費税区分

年会費を支払ったときの勘定科目と消費税の課税区分

皆さまの会社では、3月とか4月の年度の変わり目になると、各種の年会費の支払いが集中することが多いのではないでしょうか。

今回は、会社が年会費を支払うときの勘定科目と、気を付けておきたい消費税の課税区分について、見てみましょう。

 

年会費の勘定科目

年会費については、一般的には、「諸会費」勘定(または「雑費」勘定)で仕訳をします。

 

ただし、「年会費」と一言で言っても、まずはその実態が何であるかを把握することが重要です。

 

年会費という名目で請求書等があがってきたとしても、

  • その実態が図書や会報誌などの対価であれば、「図書費」勘定で
  • その実態が元々交際費であるのなら、「交際費」勘定で
  • その実態が寄附金であるのなら、「寄附金」勘定で

仕訳をすることが望ましいときがあります。

 

損益計算の観点からすれば勘定科目の厳密さはそれほど問われなかったとしても、

税務申告書の作成の際や、管理会計・経営管理の観点では勘定科目を何にするかも気を付けておきたいですね。

 

仕訳作成の段階から年会費の実態をつかむことに努めて、勘定科目を何にするのか注意しておくとよいでしょう。

 

年会費の消費税の課税区分

年会費が課税仕入れになるかどうかは、支払う年会費と、その会費元の団体などから役務の提供を受けるなど、明らかに対価性があるかどうかによって判定することになります。

 

年会費は一般的に通常会費ともよばれ、対価性がないものが多くあり、対価性がなければ消費税では不課税仕入れの扱いとなり、仕入れ税額控除の対象にはなりません。

 

対価性があるかどうかの判定が困難なものについては、年会費を支払う会社と、その年会費を受け取る団体などの双方が、その年会費に対価性がないものとして継続して処理している場合には、対価性がないものと認められます。この場合には、年会費を受け取る団体などはその旨を年会費を支払う会社に通知するようになっています。

 

なお、講演やセミナーなどに参加するための年会費で、明らかに講演やセミナーという役務提供の対価となっている場合には課税仕入れとなります。

また、ゴルフクラブ、宿泊施設、福利厚生施設などを利用するための年会費や、会員となるための入会金などで脱退の際に返還されないものについては、役務の提供を受けることが明らかであり、対価性があるので、課税仕入れとなります。

 

年会費の数が多い場合のわりと便利な方法

年会費の数が多い場合には、次のように一覧にまとめて処理すると、わりと便利です。

  1. 年間の会費一覧表を作成します。
  2. 年会費を支払う際に、とりあえず全ての年会費を「諸会費」勘定で仕訳しておきます。
  3. 年度末に「諸会費」勘定から「交際費」勘定などに振替える金額を一覧表上で集計します。
  4. 集計の結果、決算仕訳にて、振替えるべき金額を合計額で振替えます。

 

年会費に、通常会費である部分と交際費に該当する部分とが混在しているとき

年会費の中に、通常会費である部分と交際費に該当する部分とが混合されているときがあります。

このような場合でも、0か100かで勘定科目や消費税の課税区分を決めるのではなく、合理的な割合で諸会費と交際費などの金額に分割します。

その際の注意点としては、

  • 説明が可能であるような資料を残しておくこと
  • 内容に変化がないのであれば毎年継続して同じように分割すること

です。

そのためには、年会費という名目であがってくる請求書等の中身・実態を把握しておくことが大切となります。

 

ひとりごと

会費0% - 交際費100%

会費50% - 交際費50%

会費100% - 交際費0%

 

年会費の中に、通常会費である部分と交際費に該当する部分とが混在しており、かつ、その正確な金額の把握がどうしても困難なときには、上記の「会費50%-交際費50%」で分類する手もありだと思います。

%は、実態に見合った%を合理的に見積もるようにしましょう。

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令または経験などをもとに記載したものです。法改正などにより記載内容に相違が生じる可能性があります。

記事中の意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては個別具体的な内容をお近くの税理士または税務署にご相談くださいますようお願い申し上げます。