個人事業者の事業用の自動車を下取り・売却したことによる損失の取り扱い
事業用の自動車を売却したことによる損失の取り扱い
事業の用に供していた自動車について、何らかの不具合が生じたことなどによりその自動車を下取りに出して、新たに購入しなおすこととなった場合に生じた下取りの損失を事業所得の損失にしてもいいのかどうか迷うことはないでしょうか。
減価償却費については事業にかかる必要経費にしていることから、そのように考えることもあるでしょう。
事業用の自動車を下取りに出したことによる(売却したことによる)損失の取り扱いについて、見てみましょう。
個人が固定資産を売却すれば譲渡所得
新車で購入して事業供用後、たとえば車両に何らかの不都合が生じたことで短期間のうちにその自動車を下取りに出すなどした場合には、損失が発生する可能性がおおいにあると考えられます。
このように、事業用の車両を売却することによる損失は一見すると事業所得にかかる損失に思えますが、その所得は、原則としては、譲渡所得の損失となります。
下取りというかたちで事業用の車両を、所有期間が短期間(5年以内)で譲渡したことによる所得は、総合課税の短期譲渡所得(損失)となり、その損失額は、事業所得等の金額と損益通算をすることになります。
(事業用の車両の所有期間が5年超であれば総合課税の長期譲渡所得となりますが、いずれもその損失額は、事業所得等の金額と損益通算をすることになります。)
スクラップ廃車であれば事業所得の資産損失
下取りによる譲渡の損失ではなくて、その車両が下取り(譲渡)以前に既にスクラップ化していたと認められるときには、その損失の金額は、事業所得の損失の金額として必要経費に算入することとなります。
まとめ
- 事業用車両の下取り(譲渡)の損失は、総合課税の譲渡所得として、事業所得等と損益通算される。
- 事業用車両のスクラップによる損失は、資産損失として、事業所得の必要経費に算入する。
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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。