電車賃などをICカードで支払っている場合の旅費交通費
電車賃などをICカードで支払っている場合の旅費交通費
目的地までの切符を現金をつかって券売機で購入するなんてことはあまりしないようになっているのではないでしょうか。
筆者の行動範囲では最近までICカードが使えない鉄道の駅があったので、その駅を利用するときにはその都度現金で切符を購入していたこともあったのですが、
最近では、特に都市部の方については、ICカードを使うのが日常茶飯事で、現金使用率は以前と比べるとずいぶんと減っていることと思います。
今回は、個人事業者が電車賃やバス代などの旅費交通費をICカードで支払っている場合の所得税の必要経費に算入する金額をどのように集計すればよいかについて、筆者の考え方を少しお話ししたいと思います。
専用のソフトなどがある場合
専用のソフトなどがある場合には交通費の精算はとても楽です。
実績をカードリーダなどで読み取るだけで明細が参照できるようになっており、あとは事業用なのか家事用なのかの選別をすれば旅費交通費や買い物などの精算までもが完了するような仕組みがあります。
ただし、対象人数の多い会社とは違って、フリーランスなど個人事業者にとってみれば費用対効果の面で専用ソフトを導入することはまだほとんどないのではないでしょうか。
ICカードにまとまった現金をチャージして使う場合
ICカードにまとまった現金を前もってチャージすることにより、電車などで移動する都度券売機で切符を購入する必要がなくなります。
財布から現金を出したり、お釣りをしまったりする頻度がかなり軽減されるので利用されている方が多いと思われます。
このときに注意することが幾つかあります。
使っていない分は必要経費にできない
まとまった現金を前もってチャージするだけでは経費にすることができないことに注意が必要です。
チャージをすると領収書が発行されますが、その領収書では必ずしも経費として認められません。
経費として認められるのは、基本的には実際に事業用で電車などの交通機関を利用したり、事業用の費用の支出を行ったりしたときになります。
個人事業者であれば、暦年1月から12月までの所得を計算するので、
年の途中の月に関しては、チャージ分を旅費交通費として記帳すること自体は大丈夫で、チャージをしたときの領収書をベースにしても問題ありません。
ただしその場合、12月末時点で残っているチャージ(プリペイド)残高については、基本的には旅費交通費から前払金などの資産勘定に振替える必要があるので気を付けてください。
チャージ残高が大金になった場合には要注意です。
(ここでは触れませんが、仮にポストペイだと未払費用などに振替えるのが原則です。)
事業用なのか家事用なのかを把握しておくこと
まとまった現金を前もってチャージしたあと、ただ使用するだけでは、事業用として使用したのか家事用として使用したのかが分からなくなる恐れがあります。
事業用のICカードと家事用のICカードを取得して、複数枚をその都度使い分けるようにするか、
または
ICカードを事業用に使用した際にその記録をしておくことが大切です。
おすすめは「旅費交通費一覧表」への記録
事業用と家事用が混在するときには、「旅費交通費一覧表」へ記録することがおすすめです。
一覧表はエクセルでも紙でも大丈夫です。
ご自身の使いやすいフォームで良いので、
- 年月日、
- どこからどこまで、
- 手段(JR、地下鉄、タクシーなど)、
- 金額、
- 目的など
を記録しておくと良いでしょう。
できれば毎日記録するのがベストですが、
まとめて記録するなら、スケジュール帳などを見て思い出せる範囲までにして、ため過ぎないようにすることが大切です。
合理的な割合で事業用と家事用を按分することも
事業用と家事用が混在する場合には、本来は事業用と家事用とをキッチリ分けたうえで、事業等の必要経費となる金額を集計することが求められるのですが、
合理的な割合を使って按分するケースもあります。
たとえば、事業用も家事用も、その頻度、行先、経路などが年間を通じてほぼ一定である場合には、事業用として使用する合理的な割合が計算できますので、
ICカードを使用した金額を、その合理的な割合で按分して経費にすることも考えられます。
この場合、時間が経ってからでもしっかりと合理的に説明できるようにしておきましょう。
まとめ
旅費交通費については、ICカードにチャージした金額のすべてが必要経費になるわけではないので注意しましょう。
特に、移動頻度が多い個人事業者についてはその集計に手間がかかりますが、
未使用の残高や、家事用での使用については、必要経費になりませんのでご注意ください。
ひとりごと
少額だから分からないだろう、全部経費扱いにしてもバレないだろう、
という話を聞くこともあります。
実際にはそのとおりかもしれませんが、だからどうするのかは判断基準とはなりません。
どこまでだったらOKかをたずねる前にご自身が分かっていることだと思います。
忘れてしまったということならありそうですが。。。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。