債務を免除してもらったときの所得計算
債務を免除してもらったとき
商売が順調でお金が回っているうちはいいのですが、
商売が不調になったことにより仕入れ代金の支払いが滞り、最終的に資金が回らなくなり支払いをすることが困難になったことによって、
支払先(仕入れ先)から仕入れ代金である買掛金を免除してもらうこととなったときの所得税の課税関係について、見てみましょう。
経済的利益の額は収入金額に算入される
商売をしていて、その商売にかかる事業所得等の金額の計算上収入金額に算入する金額は、
なにも商品を売り上げたり、サービスを提供したりしたことにより得た対価だけではありません。
「金銭以外の物や権利その他の経済的利益」による収入についても、事業所得等の収入金額に算入することとされています。
「債務免除益」に対する課税
支払先(仕入れ先)から仕入れ代金である買掛金を免除してもらったときなどには、
経済的利益による収入を得たことになります。
この経済的利益は、債務を免除してもらったことによる利益なので、
「債務免除益」と呼ばれています。
債務免除益は、
債務免除益は、
- 買掛金やその他の債務の免除を受けた場合におけるその免除を受けた金額
- 自己の買掛金などの債務を他人に負担してもらった場合におけるその負担してもらった金額
をいいます。
そして、債務免除益は、
その免除等をしてもらった日の属する年分の事業所得等の金額の計算上収入金額に算入することとなります。
資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であるとき
債務免除益は「金銭以外の物や権利その他の経済的利益」として事業所得等の金額の計算上収入金額に算入するのですが、
仮に、
債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められるときには、
その債務者が受けた債務免除益の一定の金額については、収入金額としないという特別の取り扱いもあります。
この、「資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である」状態とは、
破産手続開始の申立てとか、再生手続開始の申立てをした状態とされており、
いわゆる「倒産」手続きをしていることその他一定の状態にあることが考えられます。
ご覧いただきまして誠にありがとうございました。
※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。