過剰生産によって価額が下落した場合の評価損の計上

過剰生産によって価額が下落した場合の評価損の計上

需要を見誤ったことなどにより商品を過剰生産し(または、商品の過剰仕入れを行い)、その結果として市場価格の低下を招き、市場価格を上回る価額で生産した(または、仕入れた)在庫があるときに、その在庫について評価損を計上してその帳簿価額を減額した場合に、その評価損に計上した金額を法人の損金の額に算入することができるのかどうか、見てみましょう。

 

商品(棚卸資産)について評価損の計上が認められるのは限定的

法人が棚卸資産について評価損の計上ができるのは限定されています。

 

棚卸資産の評価損が計上できる特定の事実としては、次のような事実が生じたために、

通常の販売価額や販売方法では販売することができないようなものに限られています。

 

  • 災害による著しい損傷
  • 著しい陳腐化

→ 参考:売れ残った商品の評価損の計上

  • 破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等

 

また、販売用の棚卸資産に限らず、原材料等のように自社で消費するものであっても同様に評価損の計上は限定的となっています。

 

過剰生産等による価額の下落による評価損の計上はできない

棚卸資産の評価損が計上できるのは上記のように限定されているため、

棚卸資産の時価の低下が、単に物価変動、過剰生産、建値の変更等の事情によるものであるならば、その棚卸資産については評価損の計上はできないこととなっています。

 

つまり、過剰生産等による価額の下落による評価損の計上はできないということです。

 

損金の額に算入することが認められるタイミング

過剰生産等による価額の下落による評価損が認められないというのは、

あくまでも「評価」による損失が認められないということであるので、

売却するとかか、または廃却するなどして、損失を確定させることで、当然ながら、そのことにより生じた損失は認められることになります。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。