売れ残った商品の評価損の計上

売れ残った商品の評価損の計上

季節ごとの商品(棚卸資産)を取り揃えて販売している法人が、季節が移りかわって需要が変った頃に売れ残っている商品の評価損を計上してその帳簿価額を減額したときに、その評価損に計上した金額をその法人の損金の額に算入することができるのかどうか、見てみましょう。

 

売れ残った商品について評価損の計上が認められるのは限定的

資産の評価損の計上が認められるのは、その資産が「著しく陳腐化」した場合に限られています。

 

そして、棚卸資産が「著しく陳腐化」したとは、棚卸資産そのものの価値が著しく減少し、その価値が今後回復しないと認められる状態にあることをいい、

 

たとえば、次のような事実があれば「著しく陳腐化」したといえます。

 

既往に実績等により今後通常の価額で販売できないことが明らか

いわゆる季節商品の売れ残り品で、その価額の低下が著しいものについては、「著しく陳腐化」したものとして評価損の計上ができることとなっています。

そして、その季節商品の売れ残り品が今後通常の価額で販売でできるのか、できないのかは、過去の経験則に照らして判断することとなっています。

過去の経験則に照らして今後通常の販売価額で販売することができないことを立証しなければなりません。

逆に言えば、それを立証できれば評価損に計上できることになります。

そのためには、報告書や計算書、広告物などで証拠を残しておくことが求められます。

 

なお、季節商品の売れ残り品とは、たとえば、正月用品のように一定の季節でなければ販売できないというようなものではなく、

極めて流行性が強いためその時期に販売しなければ今後流行遅れとなって、もはや通常の価額では販売できなくなるような性質のものをいいます。

 

ブランドものであれば、一定の季節が過ぎてもそれほど値崩れしませんし、ブランド物でなくても、なかなか著しい下落は考えられません。

翌シーズンに2割引きとかで販売している実績があるからといっても、その程度では”著しく”陳腐化したことには該当しないといえます。

 

正しい表現化どうかもありますが、著しく陳腐化とは「次の正月はもう売れない」ような商品のことと受け取ればよいと思われます。

 

 

今後従来の方法で販売できないことが明らか

型式、性能、品質等が異なる著しく優れている新商品が販売されたことにより、従来の販売価額や従来の販売方法等では販売することができなくなったようなものは「著しく陳腐化」したものとして評価損の計上ができることとなっています。

 

なお、単に流行遅れとなったものや、機種のモデルチェンジがあったことだけでは陳腐化には該当しませんが、

モデルチェンジがあったことにより、いわゆる見切り販売をしなければならなくなったようなものについては「著しく陳腐化」したといえるでしょう。

 

こちらも上記と同様に、「完全に流行が終わったので今売り切ってしまわなければ次に売る機会がない」といったケースを考えればよいと思われます。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。