会社の経営者が変更となったことにより打ち切り支給された退職手当等
会社の経営者が変更となったことにより打ち切り支給された退職手当等
経営者の年齢、健康問題、さらには業績不振などを理由に、経営者の変更、後継者への引継ぎ、株式の譲渡などを進めている会社があると思います。
なかには、会社の株式のすべてを譲渡したことで会社の経営者に変更があったことにより、従業員の一部がその会社を辞めていくことがあります。
仮に、退職の申し出があった従業員だけでなく、退職を決めかねている社員に対しても、このまま会社に残留してくれることを条件に退職手当等の名目で打ち切り支給するようなことがあるかもしれません。
このような打ち切り支給をした場合に、この退職手当等を退職所得として取り扱ってもよいのかどうかについて、見てみましょう。
退職という事実に基づいて支払う退職手当等は退職所得
退職所得となる退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。
一般的には、会社の株式のすべてを譲渡したことにより会社の経営者に変更があったとしても、その会社に引き続き勤務する者にとってみれば、雇用契約の一方の当事者である会社との雇用関係が終了するようなことはありません。
これは、すなわち退職という事実が生じていないこととなります。
したがって、会社からの申し出により、残留することを条件に支給されるような打ち切り支給の退職手当等は、実際には、退職を起因として支払われるものではないため、退職所得とは認められないこととなります。
引き続き勤務する者に支払われるものは、原則的には給与所得
退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与ではなく、引き続き勤務する者に対して支払われるものは、基本的には退職所得ではなく給与所得になると考えられています。
注:ただし、新たに退職給与規程を制定したことまたは退職金制度の移行等による相当の理由により従来の退職給与規程を改正した場合に支払われるものや、使用人から役員になった者に支払われる使用人部分であるもの、役員の分掌変更等に伴うもの、定年後の再雇用者に対して支払われるものなど、一定の条件のもとで支給されるものには退職所得として取り扱われるものがあります。
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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。
また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。