広告宣伝のための賞金の源泉徴収

広告宣伝のための賞金に対する源泉徴収

個人が支払いを受ける際に、その支払金額から支払いの際に源泉徴収されるものが数多くあります。

その代表的なものとしては、会社員が勤めている会社から受け取る毎月の給与や、ボーナスなどでしょう。

我々個人の税理士事務所が受け取る顧問料も、基本的には源泉徴収されることとなっています。

 

今回は、広告宣伝のために賞金を個人に対して支払った場合の源泉徴収について、見てみましょう。

 

 

広告宣伝のための賞金等

広告宣伝のための賞金等とは、通常、次のようなものが該当します。

  • 事業者が製品や事業の内容を広告宣伝するための賞金等で、たとえば、懸賞クイズをしたときや大売出し抽選会などでの賞金等
  • 素人クイズ番組や、素人のど自慢の賞金等

 

 

なお、交通安全の標語の賞金など、国や地方公共団体等が広報を目的として行うものは、この賞金等には含まれません。

 

 

旅行招待は対象外

賞金等が旅行招待の場合には、原則、ここでの賞金等には含まれません。

ただし、旅行に代えて金品を選ぶことができるようになっていれば、その金品の価額が賞金の額になります。

 

 

金品の評価額

賞金等を物品で支払う場合は、その物品を評価しなければなりません。

その評価は、原則として、その物品の処分見込価額となります。

 

例えば、株式、貴金属、不動産等はその受けることとなった日の価額(時価)で評価し、

商品券、ギフト券などのように、券面額をそのまま換金できるようなものはその券面額が評価額となります。

それ以外の商品は、基本的には、その賞品の通常の販売価額の60%相当額で評価することとなります。

 

 

賞金が50万円超の場合に源泉徴収が必要

源泉徴収すべき所得税等の額は、賞金等の額から50万円を差し引いた残額に10.21%の税率を乗じて算出します。

つまり、支払う賞金等の額が50万円以下であれば、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要がないということになります。

 

 

源泉徴収した事業者側の納付義務

事業者は、源泉徴収した所得税を、賞金等を支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。

 

 

手取り額をキリのいい金額にする場合の計算

賞金は、現金で支払う場合には、できればキリのいい数字となるように支払いたいとお考えではないでしょうか。

たとえば、源泉徴収された後の金額を、ちょうど100万円になるようにするなど、キリのいい金額で支払う場合の計算は次のとおりとなります。

 

<計算例>

賞金等の総額をA円、

キリのいい金額を1,000,000円とすると、

計算式は、

A円-{(A円-500,000円)×10.21%} = 1,000,000円

となります。

 

これを解くと、

A円は、1,056,854円になります。

 

よって、

賞金等の総額を1,056,854円とすれば、

キリのいい金額は1,000,000円となり、

源泉徴収税額はこれらの差額の56,854円であることが求まります。

 

 

個人が支払いを受ける際に源泉徴収されるもの(参考)

  • 原稿料や講演料など(ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくても差し支えありません。
  • 弁護士、公認会計士、司法書士等の、特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  • 映画、演劇、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  • ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー・キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供契約を約することにより一時に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。