単身赴任者が出張の際についでに帰宅した場合の旅費

単身赴任者が出張の際についでに帰宅した場合の旅費

単身赴任者が職務上必要な出張をするときに、その出張先と、家族がいる自宅とが近くである場合には、出張のついでに自宅に立ち寄ることが少なくないと思われます。

このように、出張にともなってついでに帰宅するときの旅費が「非課税」とされる旅費として認められるのか、それとも帰省旅費と同様に「課税」される旅費に該当するのかどうかについて、見てみましょう。

 

 

もともと帰省旅費は課税

配偶者または扶養親族を有する給与所得者で転居を伴う異動をした者のうち単身で赴任した者を単身赴任者といいます。

 

単身赴任者については、会社の就業規則や旅費規程などに、単身赴任者が帰省する際の旅費の支給に関する規定があることが多いと思われます。

会社によってルールは様々でしょうが、たとえば、月1回とか月2回とかの帰省のための旅費を支給するような規定があり、会社はその規定に従って単身赴任者に対して帰省旅費を支給しているようなケースが多いと思われます。

 

この帰省旅費ですが、たとえ会社の規定に従って通常の帰省に必要な金額の範囲内で支払っていたとしても、その金額は非課税扱いとはなりません。

単身赴任者がこのような帰省旅費を受け取った場合には給与所得に該当することとなりますので、会社は月々の給与と帰省旅費とをまとめるなどして、源泉徴収することが必要となってきます。

 

 

出張のついでに帰省する場合の非課税

それでは、その単身赴任者が、職務遂行上必要な出張に付随して帰宅のための旅行(ついで帰省)を行った場合に支給される旅費についてはどうでしょうか。

 

これについては、出張の目的、行路等からみて、これらの旅行が主として職務遂行上必要な旅行と認められ、かつ、その旅費の額が通常必要と認められる旅費の範囲(下記参照)を著しく逸脱しない限り

「非課税として取り扱って差し支えない」こととされています。

 

 

もちろん、通常の旅費を超えて、出張先から自宅までに余計に要した旅費に関しては出張の行路から外れていますので、単身赴任者の自腹とするか、会社が支給するのであれば、その部分は原則として非課税になることはないでしょう。

 

会社によっては、社内規定で、このような「ついで帰省」を行った場合には通常の帰省旅費を支給しないというような取り扱いをしているところがあるかもしれません。

それはそれとして、所得税等の取り扱いとしては、一定の範囲内の「ついで帰省」の場合には、非課税とされています。

 

※「ついで帰省」は筆者の造語です。

 

 

非課税とされる「通常必要と認められる旅費」の範囲

非課税とされる旅費の金額は、会社などからその出張等に必要な運賃、宿泊料、移転料等の支出に充てるものとして支給される金額のうち、

その出張の目的、目的地、行路、期間の長短、宿泊の要否、出張者の職務内容および地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内の金額をいいます。

 

なお、その範囲内に該当するのかどうかの判定については、次の事項を勘案するものとされています。

  • その支給額が、その支給をする会社等の役員および使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
  • その支給額が、その支給をする会社等と同業種、同規模の他社等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。

 

 

「ついで帰省」の旅費が非課税として認められる前提として、あくまでも出張旅費自体が通常必要と認められる旅費の範囲から著しく逸脱していないということが大切となってきますので、ご注意ください。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。