マイカー利用やタクシー利用の通勤手当の非課税

マイカー利用やタクシー利用の通勤手当

従業員に対して通常の給与とは別に支給する通勤手当は、一定の限度額まで所得税が課税されず、非課税とされています。

通勤手当や通勤定期券は、なにも公共の交通機関の利用に限った話しではなく、マイカーなどで通勤している人についても、片道の通勤距離に応じて非課税とされる限度額が定められています。

 

この非課税となる限度額は、通勤のための運賃や所要時間、移動距離などから考えて、最も「経済的かつ合理的」なルートで通勤した場合の通勤定期券などの金額です。

 

「経済的かつ合理的」ということは、たとえば新幹線鉄道を利用した場合であっても、それが「経済的かつ合理的」な方法であるならば非課税として認められるのですが、「グリーン車の料金」までは非課税の範囲には含まれないということです。

 

また、都市部のように電車やバスなどの交通網の整備された地域であれば、マイカー利用の高速道路料金やガソリン代の支給、あるいはタクシーを利用した通勤を認めないで、

電車やバスを移動手段として、その運賃や所要時間、移動距離などから考えて、最も経済的かつ合理的なルートであることを会社側で確認を取ったうえで、非課税の取り扱いとしていることと思われます。

 

それでは、都市部のように電車やバスなどの交通網の整備された地域であれば、マイカー利用やタクシー利用は本当に非課税となる費用として一切認められないのかどうか、見てみましょう。

 

 

マイカー利用やタクシー利用が認められるケース

電車やバスなどの公共の交通網の利用を最も「経済的かつ合理的」なルートとしているにもかかわらず、通勤のためのマイカー利用やタクシー利用が非課税として認められるケースがあります。

それには次のようなケースが考えられます。

 

交通機関の運休となったこと

大雨や暴風、積雪などで交通機関である電車やバスなどが運休となったような場合です。

このような場合、通常の交通機関を利用して出勤することができないわけなので、代わりに、マイカーの利用によるガソリン代(場合によっては高速代も)、また、タクシーの利用料金の実費については、会社の業務遂行のために必要な費用であるので、会社の負担すべき費用として認められます。

したがって、従業員がいったん支払ったその費用は、会社に対する立替金とし、会社から従業員への支払いはその立替金の精算として認められます。

従業員の給与とはならないので、従業員にその分の所得税が課税されることはありません。

 

 

早朝深夜の緊急的な対応のため

突発的な設備トラブルなどの緊急事態が発生した場合には、たとえ早朝や深夜であったとしても出勤することを命じられることがあります。

このような場合も上記と同様に、通常の交通機関を利用して出勤することができないわけなので、代わりに、マイカーの利用によるガソリン代および高速代も、また、タクシーの利用料金の実費については、会社の業務遂行のために必要な費用であるので、会社の負担すべき費用として認められます。

従業員がいったん支払ったその費用は、会社に対する立替金であり、会社から従業員への支払いはその立替金の精算となります。

従業員の給与とはならないので、従業員への支払いについて所得税が課税されることはありません。

 

 

コロナ対策

新型コロナウイルス感染症の予防の観点から、一定距離以上、または一定時間以上のそこそこ通勤時間の長い従業員を対象として、

公共の交通機関の利用に代えて、マイカー通勤を認めている(あるいは、マイカー通勤を強制している)会社があるというのを耳にしています。

 

このような場合についても、コロナ対策として、従業員に長時間の混雑の中の移動を避けるようにさせているわけですから、たとえ通常なら、電車やバスなどの公共の交通網の利用が最も「経済的かつ合理的」なルートであったとしても、

コロナ感染症リスクが収まったと判断されるまでは、マイカーの利用によるガソリン代および高速代を、会社の負担すべき費用として取り扱うことが認められるでしょう。

 

 

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※この記事は、作成時点の法令や経験をもとに概要を記載したもので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。