減価償却資産を誤って原材料費として処理してしまった場合

減価償却資産を誤って原材料費として処理してしまった場合

たとえば、製造業を営む会社が、本来なら減価償却資産として機械装置に計上しなければならないものの購入を、経理処理を誤って、原材料の仕入れで処理してしまったまま決算を締めてしまった場合に、

税務申告の際に、どのように対処すればよいかについて、見てみましょう。

 

 

「償却費として損金経理した」とはならない

本来なら減価償却資産として機械装置に計上し、その後の減価償却を通じて費用化すべきものを、経理処理の誤りなどにより、原材料の仕入れとして製造原価で経理処理してしまったような場合には、これは会社の会計慣行からして妥当な処理とはいえません。

 

法人税法では、減価償却資産にかかる償却費の損金算入額は、会社が「償却費として損金経理した」金額のうち、償却限度額に達するまでの金額とされていますが、

上記の例のように、機械装置の購入を原材料の仕入れで経理処理したものが、はたして「償却費として損金経理した」ものとなるのかどうかが、問題となってきます。

 

いちおう、会社の会計慣行などを考慮し、一定の場合には、修繕費や消耗品費などの勘定科目をもちいたとしても(償却費以外の科目で処理していても)、それが「償却費として損金経理した」金額として認められるところもあるのですが、

これが認められるのは税務上からみてやむを得ない事情があるとの取り扱いからなので、

機械装置に計上しなければならないものの購入を原材料の仕入れとして製造原価で経理処理するような、あきらかに会社の経理処理の誤りといえるものまでは考慮されていないと思われます。

 

したがって、そのままの状態で申告すれば、「償却費として損金経理した」とは認められず、その取得価額の全額が否認されると考えてよいでしょう。

 

 

申告の際に調整を

決算を締めてしまって、その後に上記のような誤りに気が付いたときには、確定申告の際に挽回することができます。

その方法としては、申告書の、減価償却の計算に関する明細書に、機械装置の取得価額(たとえば○○百万円)を記載するとともに、申告調整を行います。

このように処理をして申告すれば、償却限度額の範囲内で損金の額に算入することができるでしょう。

 

 

ご覧いただきまして誠にありがとうございました。

※この記事は、作成時点の法令や記載者の経験等をもとに概要を記載したものですので、記載内容に相違が生じる可能性があります。

また、記事中の特に意見部分については記載者の見解ですので、実際の適用においては必ず個別具体的な内容をお近くの税理士や税務署などにご確認くださいますようお願い申し上げます。